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2007年03月12日(月) 20時31分

<大日本印刷>個人情報864万人分流出 過去最多の件数毎日新聞

 印刷最大手の大日本印刷(本社・東京都新宿区)は12日、同社にダイレクトメールの作成を委託したカード会社や保険会社など得意先43社の所有していた個人情報計約864万人分が同社への元派遣社員に盗まれていたと発表した。個人情報保護法が施行された05年4月以降の流出数としては最多。一部が詐欺事件に悪用されたとの情報もある。経済産業省は、行政処分を検討している。
 北島義俊社長らが12日午後、本社で記者会見して明らかにした。データを盗んだのは、千葉市美浜区、システム開発会社元社員、横山博文容疑者(45)=窃盗容疑で逮捕。同容疑者は新宿区榎町にある大日本印刷電算処理室に業務委託先社員として勤務していたが、信販大手ジャックスの会員の個人情報15万人分をMOにコピーし、一部を詐欺グループに渡したなどとして窃盗などの疑いで先月、警視庁捜査3課に逮捕された。
 その後の捜査3課や大日本印刷の調べで、横山容疑者が同社から持ち出した個人情報は43社の863万7405人分に上ることが判明した。住所や名前、生年月日などで、01年5月〜06年2月に電算処理室から持ち出された。
 うち「日本信販」(現UFJニコス、千代田区)▽「ディーシーカード」(渋谷区)、「弥生」(港区)の3社は04〜06年に原因不明のまま情報流出を公表。流出分は横山容疑者が持ち出した分と重なり、出所は横山容疑者の可能性が高い。大日本印刷も調査にかかわったが、当時、自社からの流出を把握できなかった。北島社長は「原因究明の機会を生かせなかったことをおわびする」と釈明した。
 大日本印刷は会見で「(ジャックス分以外に)第三者への流出や不正利用は確認されていない」と説明。しかしUFJニコスによると、横山容疑者に持ち出されたとみられる同社の個人情報で、振り込め詐欺の手口とみられる有料サイトの架空請求書の郵送が4件あり、うち2件で被害が発生した。
 同社によると、電算処理室は月間約200万件個人情報を取り扱い、監視カメラや生体認証による出入室の管理をしていた。流出について他の関係者の関与は確認されていないという。【川上晃弘、佐々木洋】
 ◇流出先18社を公表
 大日本印刷は個人情報を流出させた得意先43社のうち、同意を得られた18社を公表した。社名は以下の通り。アメリカンホーム保険▽イオン▽NECビッグローブ▽NTTファイナンス▽カルピス▽近畿日本ツーリスト▽KDDI▽京葉銀行▽ジャックス▽ソネットエンタテインメント▽千葉トヨタ自動車▽ディーシーカード▽トヨタカローラ神奈川▽トヨタ自動車▽ニフティ▽日本ヒューレット・パッカード▽弥生▽UFJニコス
 ■ことば(大日本印刷) 印刷業界のトップ企業。1876(明治9)年創業で、資本金約1144億円。06年3月期の売上高はグループ全体で約1兆5075億円で、従業員は約3万5600人。グループは子会社124社、関連会社11社で構成。教科書、一般書籍などの印刷に加え、ICカードや個人あて郵便物などのデータ入力から印刷・発送までを請け負う業務を展開している。容器や包装資材の製造販売、薄型ディスプレー用光学フィルムの製造で注目されているほか、清涼飲料水の製造販売にも進出している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070312-00000112-mai-soci