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2007年03月12日(月) 20時39分

羽田新滑走路、10年10月供用目標 30日着工を発表朝日新聞

 羽田空港に4本目の滑走路(D滑走路、2500メートル)などを建設する再拡張事業で、国土交通省は12日、今月30日に滑走路建設に着工し、供用開始時期を閣議決定している09年末から10年10月末に遅らせると発表した。

 再拡張で、羽田空港は発着能力が現在の年間29.6万回から40.7万回に増える。このうち約3万回分(供用時)は、アジアからの近距離線を中心に国際定期便が就航する見通し。ようやく羽田を一部国際化する事業が本格化する。

 09年度末にB滑走路の延伸を完了する成田空港との一体的な運用で、乗り入れ要望が多い首都圏の航空需要に対応する計画だが、供用開始が10カ月遅れることで、国内航空各社が09年末の供用開始を前提としていた事業や、大型機から中小型機への更新などの計画も修正を迫られそうだ。

 この日、大詰めを迎えていた千葉県側の24漁業協同組合との補償交渉で、県漁連が着工への同意を表明した。一部漁協とは合意の見通しが立っていないが、国交省は引き続き交渉して3月中の合意を目指すとした。

 記者会見した安富正文事務次官は着工が遅れた理由について、「地元自治体の負担の方法、滑走路の工法の選定、そして漁業補償交渉といろいろな原因があった。経済的な面でも、利用者の利便でも影響は避けられないと思う」と述べた。

 昨年12月から、ボーリング調査などの準備工事を開始。当初はそれに6カ月、埋め立てと桟橋方式による滑走路建設に35カ月、飛行検査に10カ月を予定していた。供用開始の遅れを最小限にするため、工事と検査を並行して行うなど見直し、5カ月圧縮する。

 新滑走路は埋め立てと桟橋の複合方式で建設される。05年3月、鹿島、大林組、大成建設など15社の共同企業体(JV)が設計・施工を5985億円で一括受注した。実際の工事は浚渫(しゅんせつ)、港湾土木など5種類の工事と9工区に分かれて進められる予定。

 また、30日の着工後は、午後8時45分から午前7時45分まで滑走路1本(C滑走路)の運用が制限される。準備工事のため昨年12月から始まっている午前0時40分から同3時40分までの全滑走路の閉鎖も継続される。

http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY200703120408.html