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2007年03月12日(月) 23時16分

「政府が犯罪行為」 ダルフール問題で国連人権理調査団朝日新聞

 スーダン西部ダルフール地方の人権状況を調査していた国連人権理事会の調査団は12日、スーダン政府軍がアラブ系民兵と連携して同地方の黒人系一般市民を組織的に攻撃し、国際人権法、人道法に反した「犯罪に参画している」と強く非難する初の報告書を発表した。ダルフール紛争による死者は「少なくとも20万人」とした。

 人権理は昨年12月に調査団派遣の決議を全会一致で採択。対人地雷禁止運動でノーベル平和賞を受賞した米国のジョディ・ウィリアムズさんを団長とする調査団は2月中旬にスーダン訪問の予定だったが、スーダン政府が入国を拒否した。調査団は隣国チャド東部のスーダン国境地帯で難民などから聞き取り調査をして報告書をまとめた。報告書は12日始まった人権理(第4会期)に提出され、議論される。

 報告書は多数の被害者や目撃者の証言から、政府軍と民兵組織ジャンジャウィードによる一般住民への大規模な攻撃が続き、避難民キャンプを含むダルフール地方全域で女性に対する強姦(ごうかん)が横行しているが、スーダン当局はほとんど対応をしていないと指摘。政府軍からジャンジャウィードに武器が供給されているとの証言も多数あったという。暴力から逃れるため約200万人が難民や国内避難民になっている。

 報告書は「戦争犯罪、人道への犯罪がダルフール地方に蔓延(まんえん)している。スーダン政府は同地方の住民を大規模な国際犯罪から守ることに明らかに失敗しているだけでなく、政府自身がその犯罪を画策し、参画している」と結論づけている。

 スーダン政府に対しては国連とアフリカ連合の平和維持軍の受け入れや国際刑事裁判所への協力、人道援助関係者の安全の確保などを勧告。国際社会に対しても、国連安保理のさらなる関与を強く求めている。

http://www.asahi.com/international/update/0312/019.html