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2007年03月12日(月) 00時00分

旅行“銀座戦争”「団塊退職金」狙い豪華ツアーで火花ZAKZAK

JTB南イタリア9日間188万円、HIS香港3日間27万6000円

  【参戦】

 近ツーの高級旅行専門店「銀座支店(仮称)」は、銀座2丁目に建設中の銀座マロニエビル8階にお目見えする。周辺は今年12月にブルガリ銀座タワーが開業するなど、国内外ブランドのブティックがひしめくエリアとして知られる。

 同社は、商談やコンサルティング用のサロンを設け、自分だけの旅行をオーダーメードできるなど、従来型の支店とは一線を画す新形態の店舗を目指す予定。

 ターゲットは、大量退職時代に突入した団塊の世代を含めた富裕層で、「ラグジュアリー(ぜいたく)マーケットに特化し、少人数で催行できる高品質で高付加価値の旅行を提供します」(同社広報部)。

 何やらお堅い言葉が並んでいるところに、同社の意気込みが伝わってくる。初年度の取扱高などは非公表という。

 【先行組】

 高級旅行専門店の銀座開設は、業界最大手のJTBが2003年9月に「ロイヤルロード銀座」(銀座6丁目)を立ち上げたことに始まる。

 中をのぞくと英国調のサロン風で受付嬢がつつましくお出迎え。応対してもらうには予約が必要で、なかなか敷居は高そうだ。

 試しに全17ツアーが掲載される「夢の休日」のパンフレットを繰ると、思わず絶句。ゴールデンウイーク中の「陽光溢れる南イタリアの魅力9日間 魅惑のカプリコース」の料金が188万円と記されている。団体さま10人分の料金かと思ったら、これが大人1人分というから、かなりのゴージャスぶりだ。

 利用者もそれにふさわしい弁護士、医師、会社役員が多く、破格の料金なのに「80−100人のキャンセル待ち」(同)というから、2度ビックリ。「夢の休日」の売上高は堅調に推移し、「例年120%の伸び」(同店)という。

 HISも一昨年6月に「ヴィヴァレット銀座」(銀座4丁目)を開設した。同店では、ビジネス・ファーストクラス旅行の研修を受けた「ビジネスコンシェルジェ」という独自のスタッフが応対にあたる。

 客層は40−60代の富裕層で、昨冬の売れ筋ナンバーワンは「全日空で行く香港3日間」(17万7000−27万6000円)。

 変わったところでは、「ほぼ毎日、プライベートジェットの問い合わせを受けます」(同店)。利用すれば1人当たり2000万円は下らないプライベートジェット。そんなぜいたくな相談が頻繁に舞い込むというのだから、カネはあるところにはあるらしい。

 【格差社会】

 JTB、HISが先行し、近ツーが後を追う。その3社の店舗の位置は極めて近く=地図参照、HISの店舗を基点にそれぞれの店舗まで歩くと約4分。5月以降、三つどもえの戦いは激しさを増しそうだ。

 HISでは近ツーの進出を受けて、「銀座に高級旅行を取り扱うお店が集まり、お客さまの認知度が上がることを喜ばしく感じています」と大人のコメント。JTBも同様の見解で、一応、静観の姿勢でいる。

 大手3社がしのぎを削る高級旅行市場。経済アナリストの森永卓郎氏は「市場は今後、確実に伸びていくと思いますが、ある意味、格差社会の象徴でもあるんですよね。団塊の世代の退職金といっても大企業は別として中小企業は1000万円台がせいぜい。旅行に数百万円もあてていたらすぐになくなってしまいますよ」。

 このコメントに思わずうなずいてしまった…。

ZAKZAK 2007/03/12

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007031217.html