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2007年03月11日(日) 00時00分

大型SCに負けるな 百貨店巻き返しの陣読売新聞

 大型商業施設の進出により競争の激化が予想される仙台市と周辺地域で、百貨店が積極的な販売戦略を打ち出している。三越は家族連れをターゲットに“お値ごろ品”も並べた郊外店を名取市に開店させ、新たな顧客開拓を目指す。対照的に、藤崎は高級ブランドの「ルイ・ヴィトン」を大幅増床し23日に改装オープンさせるなど「百貨店らしさ」を追求するという。

 三越は先月28日、複合施設「ダイヤモンドシティ・エアリ」内に名取店をオープンさせた。全国で2店舗目という郊外型の店舗だ。同社・名取店開設委員長の中村謙二さんが強調するのは従来の百貨店とは大きく異なる、“値ごろ感”のある品ぞろえ。「食品売り場には、300円を超す高級納豆もあるが、98円の3個パックもそろえている。スーパーの売り場のように毎日の食卓にのぼる食材も提供する」。婦人服売り場には3000〜5000円台のカットソーやTシャツも目立つ。「これまで百貨店ではあまり扱わなかったカジュアルなブランドを全体の3〜4割程度採用した」

 名取店では、高級ブランドより少し価格帯が下の商品を用意することで、車で郊外に買い物に出かけるファミリー層や、地元住民を顧客として獲得したいという。「ファッションとギフト」を主軸に高級ブランドをそろえた既存の仙台店(青葉区一番町)と役割を分担する。

 一方、藤崎(同)は、「百貨店でなければ買えない高級ブランドをさらに充実させる」方針だ。本館の青葉通側に増築工事をしており、「ルイ・ヴィトン」を移して23日にオープンさせる。「VIPルームをつくるなど、内装、外装とも最新のデザインになる」という。

 藤崎では、今月初めに子ども服の有名輸入ブランドを導入した。さらに、秋ごろまで店舗の顔である1階売り場の改装を順に進めることにしている。販売促進部長の小野寺宣克さんは、「厳しい競争の中では、“百貨店らしさ”をさらに磨き、打ち出すことが大切だと考えている」と話す。

 仙台商工会議所などが実施している仙台市中心商店街の通行量調査によると、アーケード街の一番町通の通行量(日曜日)は2002年を100とすると、06年には84に減少した。中央通も同様に88に減っている。

 仙台周辺では、近年大型ショッピングセンターが増えており、その影響が考えられる。さらにアウトレットモールの計画も次々に発表されている。一番町に店舗を持つ三越、藤崎への影響は少なくないとみられる。新しい顧客層か、高級化か。今後も様々な販売戦略が展開されそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news001.htm