記事登録
2007年03月11日(日) 12時27分

逮捕の厚労技官、研究班に部下送り込む…補助金狙いか読売新聞

 厚生労働省技官で埼玉県保健医療部長に出向中の中村健二容疑者(49)らが、同省の科学研究費補助金を詐取した事件で、中村容疑者は、鹿児島県庁在職時の部下だった職員に「精神科病院の環境調査をやらないか」などと持ちかけ、問題の補助金の対象となった共同研究に参加させていたことがわかった。

 この職員は、共同研究の主任研究者を務めた京都府立医科大の教授とは全く面識がなく、警視庁捜査2課は、中村容疑者が、補助金をだまし取る目的で、自分の部下が研究に加われるよう同省に働きかけた疑いがあるとみて調べている。

 問題の研究は、京都府立医科大の教授が主任研究者となり、2001〜02年に実施された「精神障害者等が快適・安全に生活するためのインフラ整備の研究」。研究班には、この教授のほかに精神科医など8人が加わり、当時、鹿児島県保健福祉部長として出向していた中村容疑者の部下の職員も参加した。

 捜査2課が、研究班発足の経緯を調べた結果、中村容疑者の部下の職員は、京都府立医科大の教授とは面識がなかっただけでなく、研究テーマについても、中村容疑者から持ち掛けられ、事実上、指示されて参加していたことが判明した。

 この研究班には、厚労省が総額3000万円の補助金を支出。このうち370万円が、中村容疑者の部下の職員に分配され、実際には使われなかった約210万円を、中村容疑者と共犯の民間活動団体(NGO)「レインボーブリッヂ」代表代行の小坂博幸容疑者(54)が詐取した疑いが持たれている。

 同省の補助対象となる共同研究では、通常、主任研究者が参加者を選任して補助金を申請しており、面識のない人物が参加するのは極めて異例。さらに京都府立医科大の教授は、中村容疑者とも面識や接点がなかった。このため、中村容疑者が同省に何らかの働きかけをした可能性が高く、捜査2課は、中村容疑者が、補助金を多めに受け取れるよう部下の職員に要求させることを計画し、あらかじめ研究班に参加させたとみて追及する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070311i203.htm