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2007年03月11日(日) 00時00分

イノシシ肉 カレーなる変身朝日新聞

 農作物などに被害をもたらし、捕獲頭数が年々増えているイノシシの肉の需要を探るため、三原市はこのほど、市役所内の食堂でイノシシ肉を使ったカレーライスの試食会を開いた。味わった市民からは「臭みもなく、牛肉みたいでおいしい」と好評だった。専用の食肉処理場の整備など課題は残るが、市は今後、流通促進策に取り組んでいくという。(吉田博行)

 カレーライスは、市と食堂運営会社の「ウオクニ」(神戸市)が協力して調理。市内には専用処理場がなく、呉市の処理場から60食分、約3キロの肉を購入してつくった。

 9日昼の試食会には、市民や職員らが詰めかけ、カレーライスとサラダのセットを次々に注文。温かいカレールーをご飯にかけながら、おいしそうにほお張っていた。1食480円で販売され、60食分がすべて完売したという。

 同市港町3丁目の大正琴講師若井厚志さん(56)は「食べにくいのではという先入観があったが、実際に食べてみると牛肉みたいでおいしい」と歓迎。食堂責任者の土屋泰子さんは「他に豚汁や竜田揚げなどのメニューも考えた。好評なら月1回の特別メニューに加えたい」と話した。

 市経済部の前田茂隆部長は「駆除されたイノシシは土に埋められたり、狩猟者が個人的に食べたりしているが、流通させるには衛生上、処理場が必要になる。需要を見極めて流通方法を検討していきたい」としている。

 ●捕獲数・被害額、増加の一途
 三原市によると、イノシシに田畑を荒らされたり、農作物を食べられたりする被害は年々増加。駆除された頭数は00年度は275頭だったが、01年度以降は、500〜700頭程度(合併前の旧三原市分)と倍増した。農業共済による補償対象となった作物の被害額は06年度、例年の倍の500万円に達した。

 同市高坂町でブドウ園を営む農家の男性(72)は「二本脚で立ち上がってブドウも食べる。さくで囲っていない農園では一晩に30〜40房ぐらい被害にあった」と話す。この冬、体長1〜1・5メートルほどのイノシシ十数頭を捕まえたという。「10年ほど前から増えた。過疎化や高齢化で山に入る人が減り、イノシシが人を警戒しなくなったのでは」とみている。

http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000000703110001