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2007年03月11日(日) 00時00分

道内スキー 復活に期待朝日新聞

■ノルディック大会で応援 

 札幌市で開かれたノルディックスキー世界選手権大会の観客は、目標の19万人の半分以下にとどまった。道内のスキー人気は低迷気味。学校のスキー学習は減り、閉鎖するスキー場も相次いでいる。一方で、ノルディック大会の会場には多くの小学生が応援に訪れた。世界の一流選手たちを目の当たりにし、関係者は競技のすそ野を広げるきっかけになったのではないかと期待する。

■子ども離れに危機感

「底辺が広がらなければ、優秀な選手は生まれない」

 札幌スキー連盟の佐藤宣男副会長は、スキー人口を下支えする子どもたちのスキー離れに危機感を抱く。連盟は、対策として学校への指導員の派遣などにも乗り出している。

 ノルディック大会のホスト都市を務めた札幌だが、学校のスキー学習は減少傾向。市教委指導室によると、小学校(209校)ではほぼ全校で実施しているが、中学校(100校)になると、7、8年前には8割だった実施率が今は3割程度に落ちている。

 最大の理由は、指導できる体育教師が少なくなったことだ。加えて、「ゆとり学習で授業時間が減り、まとまった時間が必要な校外での実習をやりにくくなった」(札幌市教委)。

 長引く景気の低迷で金がかかるスキーは敬遠され、「学校もスキー授業の負担を親に求めにくい」(同)ことも影響している。

 日本観光協会によると、97年に144カ所あった道内スキー場は06年には132に減った。北海道索道協会の統計などによると、道内スキー場のリフト利用者はピークの91年には延べ9200万人だったが、03年には44%減の5200万人まで落ち込んでいる。

■「楽しんで」きっかけ作り

 2月28日。吹雪の白旗山競技場(札幌市)で、札幌市立北都小学校の児童約80人がフィンランド国旗を振って、クロスカントリースキーを応援した。日本ではジャンプなどに比べてなじみの薄い競技だが、外国からの応援団に負けない歓声を上げた。

 電子ゲームなど室内での遊びに偏りがちになっている子どもたちに、本物のウインタースポーツを見せようと企画した。

 園部真人校長は「一流選手のスキーを見たことが心に残れば、興味を持つ子どもが出てくると思う」と語る。

 ノルウェー南部の地方都市からやってきて、白旗山競技場の近くに野営して応援を続けたヨルゲン・ミーレルさん(43)は、「ノルウェーの冬は暗くて寒くて長い。そんな時期を楽しい季節にするためにスキーがある」と話す。

 今大会のジャンプ・ラージヒル団体で銅メダルを獲得した葛西紀明や岡部孝信、伊東大貴ら国内トップ選手を輩出し続ける、下川ジャンプ少年団(上川支庁下川町)。小学生のころからジャンプを教え、「楽しんで飛ぶこと」をモットーにしている。

 指導にあたる伊藤克彦さん(40)は「スキーができる気候や自然があるからこそ世界に挑戦できる。それが下川の町民や選手にとっての誇りになっている」と話す。

 西村喜憲・札幌市教委指導担当課長も「厳しい自然を受け入れて楽しむスキーは、札幌らしい環境にやさしいレクリエーション。ノルディック大会が、冬の屋外スポーツのよさの再認識につながってほしい」と話している。

 

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000703120010