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2007年03月10日(土) 00時00分

構造的問題訴え 『捏造』の背景に予算不足や視聴率競争 東京新聞

 関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題を受け、番組制作会社でつくる「全日本テレビ番組製作社連盟」(ATP)は九日、加盟社を対象に行った緊急アンケートの結果を公表した。回答では、捏造を「裏切り行為」と断罪して関係者を厳しく非難する一方で、予算不足や視聴率競争、局側との関係など、捏造が引き起こされた背景にある構造的な問題を指摘する声が多く寄せられた。 (近藤晶、山田晴子)

 アンケートは二月十四−二十日、加盟八十八社を対象に実施。十二の設問に自由に記述する方式で、六十二社(回答率70%)から回答を得た。回答したのは各社の役員クラスが中心だった。

 調査結果によると、「あるある」の捏造に対しては、「捏造を見抜けなかったというのはあり得ない」「努力を重ねてきた人たちへの裏切り」などと怒りの声が噴出。

 問題の背景としては、予算不足や視聴率競争の弊害、孫請けシステムなど構造的な問題を指摘する声が目立った。「ギリギリの制作予算で、赤字もザラ。人件費の圧縮にしわ寄せがくる」「『捏造』とまでいかなくてもゴマカシがうまいディレクターが重宝がられている」「プロデューサーが若い局では、無理に狙いや結論に持っていこうとする」。制作費が削減される中で、視聴率を優先する局側に「NO」と言えない制作会社の立場を訴えている。

 局側の「優越的地位の乱用」については、この項目で回答があった五十六社のうち半数近くの二十七社が「乱用がある」と回答。「発注費の10%をキックバック要求された」「飲食打ち合わせ接待を要求された」など、制作会社側が求める「対等な関係」とは程遠い実態を訴える生々しい意見が数多く寄せられた。

 また、今回の問題について「特殊なケースではない」とする声も二十五社から挙がった。「似たケースが夕方のニュース番組でもあった」「ドキュメンタリーでも、面白さを局のプロデューサーに求められ、過剰演出になる傾向がある」など、再発を懸念する声が少なくなかった。

 ATPは、局側との対等な関係の実現を強く求めていくとしており、工藤英博理事長は会見で「放送局と制作会社の信頼関係を築くことが、視聴者の信頼を回復する最も大事な道だと思う」と述べた。

■『あるある〜』の孫請け会社 10年で制作費半減

 ATPがこの日、結果を公表したアンケートには、「発掘!あるある大事典2」の制作に携わっていた孫請け制作会社も回答を寄せていた。このうちの一社は、日本テレワークから支払われる制作費が、番組スタート当初に比べ半額近くに減ったと答えたという。

 ATPが明らかにした孫請け会社の回答によると、一九九六年の番組スタート当初は、メーンコーナー一本につき、日本テレワークから制作費として一千六百万円が支払われていた。

 しかし、過去十年間、四回にわたって徐々に減額され、最終的には八百六十万円にまで減ったという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070310/mng_____hog_____000.shtml