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2007年03月10日(土) 14時31分

資源保有国を4分類、安定確保目指し指針案読売新聞

 政府が原油などエネルギーの安定的な確保を目指して策定する「資源確保指針」の原案が10日、明らかになった。

 産油国などを資源開発の発展段階別に4分類し、それぞれ対応策を示している。中国の急成長などでエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)し、世界的な資源争奪戦が厳しさを増す中で、きめ細かいエネルギー外交を展開し、安定確保を図る狙いがある。指針の内容は、経済財政諮問会議が6月に決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込み、必要経費を2008年度予算に計上する方針だ。

 指針原案は、産油国などの資源保有国を、「開発途上国」「成長途上国」「安定国」「潜在的資源国」に4分類して特徴を分析し、日本がとるべき対応策を示した。

 開発途上国は、外資の開発会社を積極的に受け入れて石油などの権益を与えている国々で、リビアやアンゴラ、ナイジェリアを例示した。欧米の国際石油資本(メジャー)や中国企業などが進出して競争が激しいため、相手国の政府トップらとの人的交流などで関係を深め、開発への投資を積極的に行う必要があるとした。

 もう少し開発が進んだロシアやベネズエラなどの成長途上国では、資源の国家管理を進めて「外資を排除する傾向が強まっている」と分析した。開発に伴う社会資本整備への投資や技術協力を進める一方で、他の資源消費国と連携して、安定供給のために資源国に圧力をかける必要があるとしている。

 サウジアラビアやクウェート、アラブ首長国連邦などの安定国は、資源がほぼ国有化されて「新たな権益は見込めない」が、安定的な資源供給契約を結ぶ必要があると指摘した。

 安定国には、資源枯渇への不安が高まっている国が多いため、石油化学工業など産業高度化の支援や、観光や金融など新産業の振興で協力を進める方針も示した。

 潜在的資源国は、政情不安などの問題を抱えて十分に資源開発が進んでいないイラクなどだ。円借款による復興支援や新たな開発案件への参加など、将来的な権益確保につなげる作戦を掲げた。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070310it06.htm