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2007年03月10日(土) 00時00分

電機業界で進む 不妊治療支援 利用しやすい環境づくり課題 東京新聞

 電機業界で社員本人や配偶者が不妊治療を受ける場合、治療費の補助や休暇の取得を認める制度を導入する動きが広がってきた。同業界は人材確保のため、他産業に先駆けて出産・育児支援制度を充実させており、少子化が進む中、不妊治療支援でも先行したい考えだ。ただ「会社に知られたくない」と制度を使わない人も多いとみられ、利用しやすい環境づくりが課題になる。

 キヤノンは四月から、百万円を上限に不妊治療費用の半額を補助する制度を導入する。NECも数十万円の補助制度を設けることを労使で協議中だ。シャープは昨年、最大五百万円の低利融資制度を新設した。

 休暇制度の整備も進んでいる。パイオニアは四月から、介護や育児を目的に最長四十日間の休暇を積み立てられる現行制度を、不妊治療にも利用できるように拡充する方針。

 不妊治療は保険適用外の体外受精だと約二百万円かかるケースもあるという。長期間の通院など身体的な負担も重く、補助金や休暇は大きな助けだ。東芝の谷川和生執行役常務は「次世代育成支援を充実させることは、(少子化対策に役立ち)将来の消費拡大につながる」と指摘する。

 一方、日立製作所は「治療中だと明らかにしたくない人が多い」として特別な制度はつくっていない。シャープでも、融資制度の利用者はまだいない。プライバシー保護に配慮する必要があるため、何人が支援制度を利用したかなどの調査も難しい。

 昨年、不妊治療休業制度を設けた松下電器産業では、数十人が休みを取得した。「インターネット上で申請でき顔を見られないですむので、抵抗感が小さいのではないか」という。キヤノンは「組合と話し合って、申請しやすい環境を整える」としている。

<メモ>企業の出産・育児支援 団塊世代の大量退職や景気回復に伴う人手不足に対応し人材を確保するため、出産や育児の支援を拡充したり、新たに制度をつくる企業が増えている。不妊治療のための休暇取得、資金面での補助、託児所設置、育児のための休暇や短時間勤務の期間延長なども広がっている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070310/eve_____sya_____007.shtml