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2007年03月10日(土) 00時00分

『水を』と言い 友は死んだ 東京大空襲62年慰霊法要 東京大空襲の犠牲者を追悼する東京都春季慰霊大法要で、慰霊碑に向かい手を合わせる参列者=10日午前、東京都墨田区の都慰霊堂で(河口貞史撮影) 東京新聞

 約十万人が亡くなったとされる一九四五年三月十日の東京大空襲から六十二年たった十日、犠牲者を追悼する春季慰霊大法要(東京都慰霊協会主催)が、東京都墨田区の都慰霊堂で開かれた。遺族や関係者ら約三百二十人が参列したほか、多くの人が焼香した。

 慰霊堂には空襲で犠牲となった約十万五千人分の遺骨が納められている。都は三月十日を「平和の日」と定めており、例年法要が営まれている。法要では協会の貫洞哲夫会長が「戦災の悲惨な出来事を忘れてはならない」と式辞を述べ、石原慎太郎知事が「多くの尊い命に哀悼し、ご冥福を祈る」と追悼の辞を語った。続いて、高円宮妃久子さまや遺族らによる焼香があった。

 空襲で祖父母や友人を亡くした江戸川区の大田喜美さん(70)は「川で大勢の人が死んでいる光景は忘れられない。友だちも『水をちょうだい』と言いながら亡くなっていった。平和が一番です」。墨田区の大熊トクさん(90)は「生後八カ月の子どもを背負い夜通し逃げた。周囲は火の海でした」と振り返った。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070310/eve_____sya_____001.shtml