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2007年03月10日(土) 00時00分

【関連】県職員の研究参入指示か 中村容疑者 余剰金ねん出 埼玉県庁に家宅捜索に入る警視庁の捜査員=10日午前10時37分、さいたま市浦和区で 東京新聞

 厚生労働省の科学研究費補助金(科研費)がだまし取られた詐欺事件で、当時、京都府立医科大医学部教授の下で分担研究者を務めた鹿児島県職員らは、上司だった元厚生労働省大臣官房総務課企画官中村健二容疑者(49)の指示で研究に参入していたことが十日、警視庁捜査二課の調べで分かった。 

 調べでは、この教授には「障害者の健康づくり」をめぐる研究に関し二〇〇一、〇二年度に、厚労省の科研費計三千万円が交付された。教授の下で分担研究者となったのは、当時の鹿児島県保健福祉部課長補佐を含めて八人。課長補佐は、うち計三百七十万円の分担研究費を受けた。

 中村容疑者は研究への参加を指示しただけでなく、課長補佐と経理担当の同部係長に対し、小坂博幸容疑者(54)が社長だった医薬品販売会社「マルクインターナショナル」から分担研究費で消耗品を買ったことにして、余剰金を同社の口座に振り込むよう指示したという。

 厚労省によると、課長補佐はこの研究で、同県内居住の車いす生活者百二十五人にアンケートし、スポーツ中の事故の発生などについて調査。障害者スポーツ専門の指導者や医師への障害者のニーズが、満たされていない可能性を明らかにしたという。

■部長室など県庁を捜索

 埼玉県庁への警視庁捜査二課による家宅捜索は十日午前十時四十分ごろ始まった。捜査員六人がアタッシェケースや紙袋を手に到着。報道陣が待ち構える中、本庁舎正面玄関から入った。

 捜査員は中村健二容疑者(49)が普段働いている保健医療部長室を中心に、同部各課の部屋を捜索した。県庁内には、部外者が入れないよう各所に規制線が張られ、閉庁日にもかかわらず約六十人の県職員が番をするものものしい雰囲気。総務部の男性職員は「逮捕には心底驚いた。みんな懸命に仕事しているのに、困りますよね」と苦り切った表情。別の職員は「慣れないことなので落ち着かない」と話した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070310/eve_____sya_____004.shtml