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2007年03月10日(土) 00時00分

【関連】首相求心力低下に拍車 参院選の新たな争点に 東京新聞

 賛成十対反対七−。「郵政造反組」の衛藤晟一氏の復党願を審査した九日の自民党党紀委員会は、異例の採決に持ち込まれ、かろうじて同氏の復党を認めた。安倍晋三首相の「鶴の一声」で、落選組初の復党が事実上内定していたものの、党内の反発が想像以上に根強いことを露呈した。内閣支持率が低下する中、「安倍カラー」演出の一環で決断した衛藤氏の復党にミソが付いた格好で、さらに首相の求心力が低下するのは必至だ。 (佐藤圭)

 首相は党紀委員会の開催中、首相官邸で記者団から「衛藤氏の復党には自民党内で不満がくすぶっているが」と問われ、自信満々でこう答えた。「そんな不満、くすぶってませんよ。誰かいますか。いないでしょ」

 しかし約二時間に及んだ党紀委員会では「復党を求めている落選組はほかにもいる。衛藤氏だけ認めるのはおかしい」などと、盟友の衛藤氏を「特別扱い」する首相への批判が渦巻いた。

 ベテラン議員の一人が「復党はおかしいと思うが、ここで否決したら首相のイメージダウンにつながる」と、首相に助け舟を出したが、それでも笹川尭委員長を除く出席者十四人の採決では、賛否は半々の七対七。この日は欠席した三人が委員長に託していた賛成票を加えることで、ようやく賛成票が反対票を上回った。薄氷を踏む採決を強いられた笹川氏は記者会見で「(復党は)同一基準でやらないと」と不満をぶちまけた。

 衛藤氏は委員会終了後、党本部に駆けつけたが、党内の不満を反映するように、出迎える幹部は一人もいなかった。衛藤氏は、新幹線で福島に向かっていた中川秀直幹事長に電話をかけたが、衛藤氏の復党に慎重だった中川氏の言葉は「がんばってください」と、素っ気なかった。

 衛藤氏は、七月の参院選に比例代表から立候補する。首相は、世論の反発が強い復党問題を、参院選の争点の一つに据えてしまったのは確かだ。

 改選を迎える参院議員の一人は「衛藤氏の復党はおかしいという健全な意見があることを示せたのは良かった。尾を引いてはならない」と自らに言い聞かせるように語った。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20070310/mng_____sei_____003.shtml