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2007年03月10日(土) 00時00分

【関連】営業強化への協力カギ スーパー2強時代へ 東京新聞

 イオン−ダイエー連合の誕生で、国内スーパー業界は、イトーヨーカ堂を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスとの二強の構図が鮮明となる。小売業界は少子高齢化による市場縮小に直面しており、競争環境は厳しい。巨大連合の出現は今後、新たな流通再編を促しそうだ。 (丸山秀人、<1>面参照)

 イオンの支援によりダイエーは再建の加速を目指す。だが営業力、収益力をどれだけ高められるか現時点ではまだ不透明だ。

 ダイエーは昨年十月以降、既存店の売上高が前年割れ。暖冬で冬物衣料が伸び悩んだほか、売り上げが安定的だった食品も影響を受け、同十二月は前年比8%減、今年一月も6%減となっている。このため九日に二〇〇七年二月期の売上高見通しを下方修正しており、営業力の強化が大きな課題となって立ちふさがる。

 イオンと連合を組むことによるコスト削減を、どう商品価格の値下げにつなげられるか。さらに、どれだけ消費者に魅力ある商品を開発できるかがカギを握る。

 セブン&アイもイオンも、利益の多くをコンビニやカードなど他の事業に依存しているのが実情だ。ダイエーもまた、オーエムシー(OMC)カードに依存してきた。しかし財務体質の改善に向け、現在はOMC株の売却さえ検討せざるを得ない状況。OMC株を一部売却することになれば、より一層、営業力の強化が必要となる。

 九日の会見でイオンの岡田元也社長は、商品開発、販売協力など「両社で相当程度のことができる」とする一方、「一にも二にも、人が本当に協力しあうことが大切」と述べた。人の融和がうまく進むかも注目される。

■両社首脳『店舗閉鎖せず』

 資本・業務提携を結んだイオンとダイエーは九日、両社の競合を理由にした店舗閉鎖や新規出店の調整はしない考えを強調した。イオンの岡田元也社長は記者会見で「(両社の店舗の)立地は異なり、ダイエーの店舗とぶつかり合う局面はあまりない。店舗閉鎖や出店調整は考えていない」と説明。ダイエーの西見徹社長も「競合しているのは(イオン以外の)地方の食品スーパーだ」と指摘、イオンとの競合は少ないとの認識を示した。

 イオンの今年二月時点の国内グループ店舗数は、衣食住の商品を幅広く取りそろえる総合スーパーが四百三十五、食品スーパーは七百五十五。全国各地に広がるが、どちらかといえば西日本の郊外立地型が多い。

 一方、ダイエーは総合スーパーが百五、食品スーパーは三百八十三で、都市部の駅前中心に店を構える。このため、両社の店舗が競合するケースは少ない、という。

<メモ>イオン 郊外型ショッピングセンターを展開する総合スーパー大手。経営破たんしたヤオハン、マイカルなどを吸収合併して規模を拡大してきた。コンビニやクレジットカード会社、不動産事業なども手掛ける。07年2月期連結決算予想は売上高4兆8600億円、純利益560億円。

 ダイエー 故中内功氏が1957年、神戸市に設立した「大栄薬品工業」を前身とする総合スーパー。一時期は売上高で小売業日本一となったが、拡大路線が裏目に出て経営が悪化。産業再生機構の支援決定を受け、06年8月に丸紅が再生機構の保有株を買い取り、筆頭株主になった。業績見通しの下方修正で、07年2月期連結決算予想は売上高が1兆2710億円、純利益は400億円。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070310/mng_____kei_____003.shtml