記事登録
2007年03月10日(土) 00時00分

界隈ルポ 武蔵小山  イラスト 菅原真紀 東京新聞

 ◆武蔵小山(品川区) 東急目黒線武蔵小山駅下車

 天井が高いアーケード、店先もすっきりして統一感がある。脇をすり抜けていく自転車に危険を感じる商店街も多い中、ここ武蔵小山商店街パルムでは自転車を押している人が多いことに驚く。

 武蔵小山商店街は大正時代、目蒲線の開通により発展、現在は約二百五十店舗を数える。一九八五年にリニューアルしたアーケードは全長約八百メートルで、都内一の長さ。ポイントカードのみならず商店街が独自で発行するクレジットカードまである。

 王様とストロベリー=電03(3787)0443=は気取りのないケーキ店。名物が高さ約三十センチのジャンボパフェとさらに上をいく約六十センチのキングパフェ! 今でこそあまり珍しくないが、二十年前に生まれたジャンボパフェの先駆けだ。「たき火にみんなで当たるような感覚で仲良く食べてもらいたい」とオーナーの飛永昌之さん。「歴史あるこの商店街でやるからには死ぬまで値上げしません」

 珍しいチュニジア料理レストランのイリッサ=電(3786)5332。チュニジアの代表的な料理クスクスとブリックのスペシャルセット(千五百円)=写真右=をいただく。イタリア料理に似ていて食べやすい。

 商店街の端、焼き鳥鳥勇=電(3781)0096=は一九二六(昭和元)年創業=写真左上。老若男女、店先で焼き鳥を立ち食いしている。多いときは一日千本焼くとか。駅前店はビール片手に焼き鳥をつまむおじさんが目立つが、本店は買い物帰りの主婦や子どもが多いそうだ。

 パルムを離れ、星薬科大学=電(3786)1011=を目指す。こちらの薬用植物園は、正門で申し込めば誰でも見学できる。温室=写真左下=もあり、バニラやシナモンなど香りの強いものから重要な医薬原料となるものまで千八百種類を栽培している。また、本館は一九二四(大正十三)年に建てられた歴史的建築物。ドーム形の講堂や、薬草狩りをモチーフにした階段の壁画は一見の価値あり。

 駅に戻る途中に見つけたのが一九〇七(明治四十)年創業の米本舗清水屋=電(3781)8836。四代目の清水保之さんが生産者の元に足を運び、自らの舌でおいしさを確かめた米のみを扱う、いわばお米のセレクトショップ。こだわりが客にも認められ、品川区の「きらり輝く一番店」コンテストでは米店で唯一受賞した。

 気取らない街。活気ある商店街。生活に密着した底力のあるこの街。「住みたい!」と思わせる魅力がたっぷりあった。 (吉田美穂)

 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20070310/mng_____thatu___000.shtml