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2007年03月10日(土) 00時00分

「障害者の性の悩み解消」朝日新聞

 身体障害者向けに性的サービスを提供するビジネスが3月中に盛岡市内で始まる。運営の中心となる同市の男性(31)は、「障害者が性に悩んでいることを知ったのがきっかけ」という。性的サービスは興味本位でとらえられがちだが、専門家は「障害者にとって性は深刻な問題」として、今後の動向に注目している。

 サービスを始める男性は、岩手大学在学中から約10年間、身体障害者支援のボランティア活動を続けてきた。障害者との付き合いを深めるうちに、プライバシーがない施設内の生活や障害のために「自慰行為ができない」といった悩みを聞く機会があった。

 オランダで同様のサービスをしている団体の活動を参考に、06年11月から準備を始めた。ボランティアの運営も検討したが、女性スタッフがなかなか集まらなかった。

 このため、有料サービスに方針転換し、介護士やヘルパーの資格を持つ女性従業員2人が集まった。無店舗型風俗営業として、警察にも届け出る予定だ。

 障害者本人や家族からのサービス申し込みがあると、従業員が自宅などを訪問したり、施設から連れ出したりしてサービスをする。男性は「活動を継続させることが重要。金もうけが目的ではない」と話す。

 脳性マヒを患う20歳代の男性は「施設や自宅で我慢し続けている人は多い」。施設内で、自慰行為ができない人は、従業員にセクハラをしてしまう人もいるという。

 性的サービスについて、この男性は「障害を受け入れてくれる人が接客してくれるのは安心できる」と話す。

 身体障害者からの相談業務を行う「もりおか障害者自立支援プラザ」の大信田康統所長は「身体障害者にとって、性が深刻な問題なのは事実」と話す。身体障害者は、異性との出会いの場が少なく、行動も制限されることが多い。最近は、障害者と性の問題をタブー視しない傾向も出始めたという。

 大信田さんは「性の問題で選択肢が増えることは大切なことなのかもしれない」としながらも、「障害者目当てのビジネスになる心配はある」と話した。

http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000703100002