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2007年03月10日(土) 00時00分

県保険医療部長 詐欺容疑で逮捕朝日新聞

 「また厚労省か」。9日夜、同省から県に保健医療部長として出向していた中村健二容疑者(49)が詐欺容疑で逮捕されたと聞き、県幹部はつぶやいた。残業で一部職員が残っていた県庁内はあわただしい空気に包まれ、対応に追われた。

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◆職員ら 対応に追われる

 96年に元事務次官が逮捕された厚生省汚職事件で、同省から県に高齢者福祉課長として出向経験のあった官僚が収賄容疑で逮捕された。県はそれから、中央官僚の出向を自粛した時期もあった。

 今回の逮捕容疑は、中村部長が鹿児島県に出向当時のことで、埼玉での職務とは関係なかったという。

 中村部長はこの日、定時まで働き、退庁。その後、警視庁に任意同行を求められたとみられる。

 帰宅途中に携帯電話に連絡を受けて県庁に引き返した保健医療政策課の布藤純一郎課長が、報道陣の対応にあたった。「不二家の問題でも、県民の食の安全を守るために、部長が指揮を執って指導しており、我々職員も信頼していた」「昨日の夜に部内で飲んだ時、部長は頑張ろうと乾杯の号令をかけていたのに。まだ信じられない」と呆然とした様子で話した。

 不安そうな表情で、テレビのニュース番組に見入る職員もいた。

 中村部長は2年前の赴任時から、東京都内の自宅から電車で通勤していた。布藤課長によると普段の付き合いで接する限り、「服装や飲み代などに華美や無駄遣いはない」。布藤課長は「仕事は緻密(ちみつ)で、厚労行政に大変に詳しく、知識を持った人だった」と話した。

 県のある幹部は中村部長が以前退庁する際、職員に「私はあの店で飲んでますから、良かったらどうぞ」と話したことを覚えている。「職員との和を保とうとして、偉ぶらない感じ。中央官僚としては珍しかった」と振り返った。

 開会中の2月県議会で、事前に質問の打ち合わせをしたベテラン県議は「言葉遣いも丁寧で落ち着いていた。以前逮捕された中央官僚よりも紳士的だった」と話した。

 上田清司知事は「寝耳に水で大変驚いている」とコメントした。

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000703100003