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2007年03月10日(土) 00時00分

来年8月のイラク撤退義務化法案、米民主党朝日新聞

 米議会下院のペロシ議長ら民主党指導部は8日、イラク駐留米軍の戦闘部隊を遅くとも08年8月末までに撤退させることを義務づける法案を提出すると発表した。ただし、仮に法案が成立しても、ブッシュ大統領が拒否権を行使することは確実。民主党内ですら、すでに対応にばらつきが出ており、現実的には、国民向けの政治的なアピールに終わるとみられている。

 法案は、イラクとアフガニスタンでの戦費にあてるためにブッシュ大統領が議会に求めた07会計年度補正予算案に付帯事項を加える修正案の形を取った。08年3月までに撤退に着手するよう求めている。

 さらに、イラク政府が、治安改善や国民和解などの進展状況に関する評価基準を満たしているか、ブッシュ大統領が今年7月に報告を議会に提出するよう義務づけた。イラク側が基準を満たさなかった場合は、撤退日程を前倒しさせ、その時点から6カ月以内に撤退を完了させなければならない。10月にも第2回報告を義務づけ、やはりイラク側の対応次第では同様に撤退日程を早められるとしている。

 しかし、党内左派からはこの日、07年末までの撤退完了を求める別の法案が提出された。逆に現実派の議員らは、軍人の手を縛ることになりかねない指導部の法案にも抵抗感を抱く可能性もあり、会派内で意見を統一できる保証はない。

 一方、上院民主党のトップ、リード院内総務は同日、通過から120日以内に撤退を開始、08年3月末までに完了するよう要求する両院決議案を提案した。

 こうした動きに対し、与党共和党のベイナー下院院内総務は「イラクの現場で決定を下すのは(駐留米軍司令官の)ペトレイアス大将であるべきだ」と批判した。

 バートレット米大統領上級顧問は同日、「大統領にとっては検討に値しない動きだ。民主党内の歓心を買う動きにすぎず、イラクの現場の情勢は反映していない」と述べ、この種の法案には拒否権を行使する政権の方針を明確にした。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000703100001