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2007年03月10日(土) 07時02分

がん診断PET用半導体センサー開発 東北工大グループ河北新報

 東北工大の庄司忠良教授(放射線計測学)と人見啓太朗助手(同)らの研究グループは9日までに、がんの早期発見などに使用される陽電子放射断層撮影装置(PET)向けの半導体センサーを開発した。真空管を用いた従来の装置に比べ、性能は大幅に向上。小型化、低コスト化も図られ、PET検診の普及に貢献できるという。

 PETは、がん細胞がブドウ糖を集める特性を利用し、がんを見つける装置。体内に投与したブドウ糖とがん細胞との反応で生じた放射線を特殊な結晶で光に変え、その光を光電子増倍管(真空管)で電気信号にして画像化する。

 真空管を使った装置は小型化が難しい上、放射線の画像化に2段階の変換が必要で、解像度の向上に限界があった。現在、放射線を直接電気信号に変える半導体センサーの研究が盛んに進められている。

 グループは、電気変換の性質を持つ半導体「臭化タリウム」に着目した。棒状の金属材を熱して不純物を取り除く「帯域精製法」と呼ばれる技術を応用。臭化水素を満たしたガラス管の中で精製することで、高純度の臭化タリウムを得ることに成功した。

 臭化タリウムのセンサーは、解像度が通常のPETの3—5倍に上がり、1ミリ大のがん組織の判別も可能になる。小型化による製造コストの低減で、PETの価格(一般的機種で5億円程度)も、従来の3分の2以下に抑えられるという。

 人見助手は「PET製造にかかる費用の約半分は、センサー部分が占める。コスト削減で検診料を安くし、より多くの人が恩恵を受けられるようになってほしい」と話している。

 研究成果は27日、神奈川県相模原市で開かれる応用物理学会全国大会で発表される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070310-00000005-khk-l04