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2007年03月09日(金) 00時00分

アフガン復興、日本から応援 NPOが東京で映画祭朝日新聞

 米軍の空爆によるタリバーン政権崩壊から5年たったアフガニスタンを、東京から文化支援し続ける団体がある。現地はいまだテロや貧困が覆うが、芸術や報道の分野では急速に復興が進む。活気を取り戻した映画界とメディアの姿を伝えようと、今月「アフガニスタン映画祭」を都内で開き、現地作品を一挙発信する。

 NPO法人「クロスアーツ」(東京都大田区)。映像や音楽を通じた国際交流をめざす作曲家や映画監督ら約30人が参加し、05年に結成した。

 アフガン支援は同年春、天理大などと協力して開始。映画復興に取り組む国立カブール大芸術学部の教授陣や学生に撮影指導を行った。日本から贈られた撮影機材を使い、作品の共同制作も進めた。

  昨年9月、再度現地訪問した村山達哉代表(42)らは、大衆文化の急速な再建を目の当たりにした。市街戦の弾痕の残る劇場では娯楽に飢えた若者が銀幕を凝視。若い世代の監督がハリウッド的な新しい感覚でホラー映画などを撮るようになっていた。

 首都カブールでは民放テレビの開局が相次ぎ、民族融和のため複数言語放送も始まっていた。村山さんらが視察した局は女性スタッフが半数を占めた。検閲なしで発行されるようになった新聞も、若者を中心に部数を伸ばしている。

 映画祭では、メディアのあり方と支援の課題を探るため、現地のテレビプロデューサーを招いたシンポジウムも開く。テレビ局のニュース映像も上映する。「復興」に焦点を当て、カブール大学生の制作作品など10作品も紹介する。

 村山さんは「復興は進むが、メディアや映画界の基盤は弱く、民主化はどう転ぶか分からない。少しでも関心を持ってもらい、文化支援の大切さを訴えたい」と話す。

 映画祭は10、11日が蒲田の日本工学院専門学校で、12〜16日が渋谷のシネマ・アンジェリカで。シンポは蒲田のみの開催。問い合わせはクロスアーツ(03・3729・5608)へ。

http://www.asahi.com/culture/movie/TKY200703090282.html