記事登録
2007年03月09日(金) 00時00分

改築費「返せない」朝日新聞

  豪華客船クイーン・エリザベス2世号など世界の代表的な客船が立ち寄り、客船寄港数日本一を誇る横浜港大さん橋国際客船ターミナルの改築費の返済計画が破綻(はたん)しかけていることがわかった。経営している横浜市の計画の甘さが原因だ。

(太田泉生)

  大さん橋国際客船ターミナルは、横浜市中区の山下公園近くにあり、通常の客船なら4隻が着岸できる横浜の海の玄関口だ。明治27年3月に最初の桟橋ができ、その後、同じ場所で改築を繰り返して、現在の桟橋は02年6月に完成した。

  改築の総事業費は251億円。市の事業計画によると、国の補助金や市債でほぼ半分を賄い、残りの138億円(利子を含むと179億円)を、大さん橋の駐車場と店舗、それにCIQプラザと呼ばれるホールの使用料で30年かけて返済していく予定だった。

  ところが、収入が伸び悩む。駐車場は年間2億6300万円の収入を見込んだのに、02〜05年度の実績は6700万〜9700万円。CIQプラザ利用料は2億1600万円の見込みに対し、400万〜900万円しかなかった。

 05年度には単純収支で1400万円の黒字を出したが、計画の年間黒字2億9600万円には遠く及ばない。元本の返済はこれからだが、利息の支払いがすでに生じ、00〜05年度で計7億2800万円が市の一般財源から支払われた。

  CIQプラザは、出入国手続きのブースや税関が設置されるため、外航客船が入港する際は必ず空けておく必要がある。コンサートや講演会での利用予約があっても、その後に外航客船の入港が決まれば、キャンセルしてもらうことを条件としているという。この条件がネックとなって、利用が伸び悩んでいると、市の担当者は説明する。

  大さん橋の経営について調べた市の外部監査(06年度)も「予算と実績にこれほどの差があるのは、当初の収入見込みに甘さがあった。早急に厳しい収支状況を市民に開示し、適切な予算措置を講じる必要がある」と指摘した。

  客船寄港数自体は、市の当初の目標を大きく上回っている。年間100隻を目標としたが、04年は114隻、05年は145隻、06年は143隻と、いずれも上回った。客船寄港時の05年度の岸壁使用料と入港料は、それぞれ8069万円、604万円だった。ただ、改築費の返済には充てられない仕組みだ。

  これらの収入を返済に充てたとしても、不足分を賄うことはできず、一般財源からの大幅な補填は避けられないとみられる。

  市港湾局は「見通しの甘さは認めざるを得ない。どのような見直しができるか検討する」としている。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703090003