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2007年03月09日(金) 00時00分

「県議の海外視察不当」 監査請求朝日新聞

県議と仙台市議が公費で実施した海外視察の中に、県政や市政と関連が全くなかったり、実質は観光旅行だったりする不当なケースが含まれているとして、仙台市民オンブズマンが8日、住民監査請求をした。監査結果によっては住民訴訟も辞さない構えだ。情報公開された視察の報告書を読むと、確かに首をかしげたくなる内容が少なくない。(岩田清隆)

 オンブズマンは03〜06年度の県議と仙台市議の海外視察に関する文書を情報公開請求し、分析を進めてきた。県議会では16回にわたって56人の県議が視察に行き、支出された公費は計6089万円。仙台市議会では9回にわたって48人が視察に出かけ、計4750万円の公費が使われた。

 視察の問題点として、オンブズマンは(1)県政や市政のどんな課題を解決するために場所を選んだのかが明確でない(2)報告書の内容がずさんで、実質は観光といえるものがある(3)旅行業者の選定が不透明で、競争原理が働いていない——などと指摘。特に(3)について、県議のフランスへの往復航空運賃が1人あたり91万円もかかるなど不当に高く、「業者間の適正な競争があれば、相当な経費が節約できたはず。一部が別の使途に充てられた可能性もある」としている。

 議員が記した視察の報告書をみると、フランスを訪れて「モナリザと対面して、あまりの感動で涙がでました」と生徒の感想文のような内容を記した市議(改革ネット仙台)や、「知事選で勝利し、2週間もたたない出発で、事前の勉強をほとんどすることもなく参加した」と告白している元県議会議長(自民・県民会議)がいる。

 「この訪問で得られた成果をストレートに県政に活(い)かすことは極めて難しい」と、ギリシャやイタリアなどを訪問した後に記した元県議(自民・県民会議、現衆院議員)もいた。

 県議会では4年の任期中、1人につき120万円を上限に海外視察費が支給されてきた。しかし県の財政難の中、新年度からは100万円に上限を下げる。仙台市議会では1人あたりの上限は100万円と定めている。

 オンブズマンは「県政、市政のため必要だから行くのではなく、まず予算があり、『使わなきゃ損』という感覚で行っている。ちょうど改選期を迎えるので、政務調査費とともに議員の特権を問いたい」と話している。

 また、県の監査委員は4月以降、4人の委員のうち2人が現職県議、1人が元県議という構成になる。オンブズマンは、現職だけでなく元職も含めて海外視察に関する監査の担当から外すよう求めている。

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000703090002