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2007年03月09日(金) 00時00分

「コナン」の顔似ていない朝日新聞

■青山剛昌ふるさと館 18日開館目前に大慌て■

 小学館プロ、展示物30カ所に修正指示

 北栄町(旧大栄町)出身の漫画家青山剛昌さん原作の複製原画などを展示する「青山剛昌ふるさと館」が開館予定の18日を前に大慌てで準備を進めている。漫画「名探偵コナン」など青山作品の著作権を管理する小学館プロダクション(本社・東京都)から展示内容や設備について多くの変更を指示されたのが理由。町は「監修がこんなに厳しいとは……」と頭を抱えるが、開館予定だけは変更しないようにと取り組んでいる。

(佐藤建仁)

 「コナンの顔が似ていない!」。今月6日、監修作業のため同館を初めて訪れたプロダクションの担当者が、「名探偵コナン」のキャラクターが描かれた展示パネルを見て声を上げた。

 同館では、原作の画像データを切り取ってパネルを構成するなど忠実に再現したつもりだったが、「髪の一部が途中で切れている」「解像度が低くて絵柄がぼやけている」など、原作と比較した場合の「精度」の低さを細かく指摘された。ほかにも、中国語や韓国語など4カ国語で書かれた展示物のキャプションの内容、青山さんの仕事部屋を再現したコーナーなど全館の約30カ所に修正の指示が出た。

 町は、「極端に言えば似ていればいいという甘えがあったかもしれない」と謝罪したうえで、ディスプレーを頼んだ業者に急きょ改装を依頼。報道陣や地元観光業者らを対象に計画していた13日の内覧会も中止を決めた。

 コミック総発行部数が世界で1億冊を超える「コナン」はテレビアニメの放映が10年以上続き、来月には11作目の劇場映画が公開されるなど現役の超人気キャラクター。それだけに、展示の修正指示には「キャラクターのイメージを損なうことは容認できない」というプロダクション側の強い意向がある。

 「コナンの里づくり」を99年からまちづくりの方針に掲げ、「コナン通り」「コナン大橋」などを整備してきた同町で、同館の設置プロジェクトが動き始めたのはちょうど1年前。同館の基本計画や実施設計をつくる過程でプロダクション側の合意を得ていたが、展示物の監修が開館直前にずれ込んだ。町企画情報課の田中精一課長は「本来なら2年くらいかけてじっくり取り組みたいところだが、それが許されない事情もある」と話す。

 「コナン」の翻訳版が20以上の国・地域で出版されており、「県全体の国際的な誘客に効果がある」とみる県は、単独自治体が造る施設に対しては極めて異例といえる補助金2千万円の交付を決めた。また、今月26日〜4月11日に台北と米子を結ぶチャーター機10便の運航計画も県の働きかけで実現する。

 観光コースには同館も含まれており、「機運が盛り上がっているこのタイミングを逃すわけにはいかない」と田中課長。

 町とプロダクションの間では「監修が終わらない限り、いかなることがあっても開館は認めない」という契約を結んである。今後、手直しの原案を作成し、工事完了後にプロダクション側の承認を得てからオープンとなる。このため、内装の施工業者には連日徹夜の改修を依頼した。

 四門隆館長は「町民の期待も大きく、18日の開館だけはなんとしても実現させたい」と話している。

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000703090003