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2007年03月09日(金) 23時51分

日興TOB 米2ファンド反対表明、シティと火花朝日新聞

 米大手金融シティグループが来週始める日興コーディアルグループの株式公開買い付け(TOB)で、大株主である二つの米投資ファンドが1株1350円の買い付け価格を「低すぎる」として反対を表明した。シティは価格引き上げには応じず、日興も大株主のみずほフィナンシャルグループ(FG)などに賛同を呼びかけて対抗する構えだ。高値売り抜けを狙う海外ファンドと、安値買収を狙う米大手金融グループの駆け引きが激しくなってきた。

日興コーディアルグループの株主構成図

 「1株2000円の価値があると考えている」としてTOB価格に異を唱えているのは、日興株の7.23%を保有する筆頭株主の米ハリス・アソシエイツと、6.6%を保有する第3位株主の米サウスイースタン・アセット・マネジメントだ。

 シティは、TOB価格の根拠を「株式価値を分析し、日興とも協議した」と説明する。一般的にTOB価格は過去数カ月の株価の平均に2〜3割を上乗せするが、シティは最近1カ月間の平均に8%程度を上乗せしただけ。「利益重視の外国人投資家がTOBに応じるかは微妙」(大手証券幹部)との声が多い。

 海外ファンド勢は不正決算が発覚した昨年12月以降、日興株を買い進めて上位株主に躍り出た。4ファンドで現在26%超を保有。高値で売却して利ざやを得る狙いだ。

 TOB発表後の7日から日興の株価はTOB価格を超えて上昇し、9日の終値も1410円。市場では「TOB価格の引き上げや、より高値の対抗TOBを期待し、投資ファンドが買い増している」との観測が出ている。

 シティのTOB成立は、目標とする日興株の過半数取得が必要条件。日興は、みずほFGを含む日本の大株主にTOBに応じるよう呼びかけているが、日興株の6割を保有するとみられる外国人株主の間に反対の動きが広がれば、TOB価格の引き上げに動く可能性もある。

 ただ、東京証券取引所が週明けにも上場廃止を決めれば、1カ月後に市場で売買できなくなるため、売却を急ぐ株主の多くがTOBに応じるのは確実だ。対抗TOBを仕掛けるには6000億円超が必要で、「国内外の大手金融グループか欧米の巨大ファンドに限られる」(市場関係者)。このため、シティは当面は引き上げに応じない方針だ。

http://www.asahi.com/business/update/0309/163.html