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2007年03月09日(金) 10時00分

株価暴落で安倍路線破綻日刊ゲンダイ

 東京株式市場は5日までの5営業日で、1600円近く株価を下げていた。6日午前は一転して戻り相場になったものの、市場では「1万6000円割れもある」なんて悲観論までささやかれていて、安倍政権の「上げ潮路線」はこれで完全にパーだ。

 日本の市場の一番の懸念材料は「円高」だ。株安に加え、円相場も3カ月ぶりに1ドル=115円台に急伸した。「円相場が落ち着かない限り、他国の市場が下げ止まったとしても、日本株の乱高下は続きそう」(外資系運用会社)という指摘もある。
「1円の円高で、1部上場企業全体の経常利益が2000億円吹き飛ぶという試算があります。円高の想定上限を1ドル=115円にして市場を引っ張ってきた輸出関連企業には大打撃。さらに株安に拍車をかけるという悪循環です。今のところ、株価が本格的な戻り歩調になるかは不透明。このまま株価上昇の起点になった1万6200円をあっさり割ったら、一気に1万5000円台まで考えられますよ」(大手証券会社関係者)
 そうなると、安倍政権が突っ走ってきた「上げ潮路線」は前提から崩れることになる。筑波大名誉教授の降旗節雄氏(経済学)が言う。
「小泉—安倍政権は、超低金利の円で資金を調達して、それを外貨に替えて投資する円キャリートレードで世界的な“バブル”を生み出し、米中の外需頼みで景気回復を演出してきた。それで輸出関連をはじめとする大企業が儲かれば、全体の底上げにつながるという上げ潮路線は、今回の株安と円高で完全に“底”が割れてしまった。大企業も無傷では済まず、設備投資も控えられ、賃金もさらにカットされる。庶民の台所は厳しくなり、消費が冷え込む恐れまで出てきました」
 安倍政権はこれまで、景気回復を自らの手柄のように喧伝していたが、株が暴落した途端に「市場は市場が決める」(塩崎官房長官)なんて、まるで他人事だ。つまりは手の打ちようがないということ。安倍自民党は参院選惨敗に向けて転がり始めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070309-00000013-gen-ent