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2007年03月09日(金) 00時00分

冬咲きサクラ 新品種発見読売新聞

発見された新品種のサクラを手にする大原さん
 冷たい雪や風にさらされながらも白やピンク色の美しい花を開かせるサクラの新品種が、県内で見つかった。サクラの専門家である、県中央植物園(富山市婦中町上轡田)の大原隆明主任(38)が学会に発表し、9番目の冬咲きサクラの品種に認められた。きょう9日から、切り枝が同園に展示される予定で、大原さんは、「富山ブランドの一つとして、全国に広めていきたい」と意気込んでいる。

 新品種を発見したのは、県内でサクラの保護育成に取り組む団体「とやまさくら守の会」の武田宏さん(上市町)と八木秀治さん(黒部市)。それぞれ、県内でのサクラの分布や生育状況などを調べていたが、昨年2月、上市と黒部の民家の敷地で、見慣れない花を開かせているサクラを発見、大原さんのところに持ち込んだ。

 大原さんによると、サクラは東アジア原産で、日本などに20〜30の野生品種があり、交配で作られた園芸品種は200〜400あるとされる。

 そのうち、冬咲きはこれまでに8品種しか確認されておらず、大原さんが、花と葉を調べたところ、8品種とは花やガクの形状などが異なることから、新品種と分かった。県内でのサクラの新品種発見は、1970年のフタカミザクラ以来、37年ぶり。

 新品種は、冬咲きのフユザクラと、春に咲くヤマザクラが交配したものの可能性が高いといい、10月下旬から4月まで咲く。

 冬の間の花の付きが良く、花の色も白からピンクへと変化する。1本の木で紅白を楽しむことができるのが特長で、大原さんは「観賞価値の高い品種」という。3日、東京で開かれた第1回日本櫻(さくら)学会の発表でも好評を博した。

 その後の調査で、魚津市と立山町でも見つかり、県内の計10か所で確認されたが、いずれも樹齢100年以上のため、新品種の起源がどこにあるかなどはたどりきれないという。

 新品種は、きょう9日から、花がもつ約1週間、同園で一般展示される予定。

 今後、大原さんと武田さん、八木さんで、名前を付ける予定だが、それぞれ、「富山にちなんだ名前を」と意気込んでいる。全国のサクラ関係の団体に呼びかけ、全国にも広めていくつもりで、大原さんは、「県のPRにつながれば」と笑顔を見せていた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news001.htm