記事登録
2007年03月09日(金) 00時00分

強毒腸炎菌を初確認 関東など、警戒呼び掛け 東京新聞

 北米の医療施設で集団感染が相次ぎ、高齢者を中心に死亡例も増えている強毒型の腸炎細菌が、関東地方と東海地方で過去に発病した患者二人の保存試料から九日までに検出された。国内で強毒型が確認されたのは初めて。調査した国立感染症研究所は「今後拡大する恐れがある」として、医療関係者に警戒を呼び掛けている。

 感染研によると、患者は二〇〇一年に発病した関東地方の三十代男性と、〇五年発病の東海地方の三十代女性。北米での問題を受けた最近の調査で判明したが、感染経路は分かっていない。女性は入院患者だが男性は入院歴がなく、いずれも抗生物質の服用後に発病し、薬の変更などで回復したという。

 問題の細菌は「クロストリジウム・ディフィシル」。抗生物質による治療で腸の常在菌のバランスが崩れた際に異常に増え、腸炎を起こすことが知られていたが、今回見つかったのは通常のディフィシル菌より多量の毒素を出す変異型で「027型」とも呼ばれる。

 〇二年ごろから米国、カナダで抵抗力が弱った入院患者らの集団感染が相次ぎ、カナダの十二病院で〇四年に行った調査では、患者千七百三人中百十七人が死亡。致死率が約7%と通常より高いことから、米疾病対策センターが注意喚起していた。欧州でも最近確認され、毒性が強いため入院患者以外にも発病例が出ている。

 北米では、強毒型であることに加え、医療現場でよく使われるフルオロキノロン系の多くの抗生物質が効かない耐性菌が広がり、治療の難しさにつながっている。国内の二例の菌を検査したところ、耐性は北米の菌ほどは強くなかった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070309/eve_____sya_____006.shtml