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2007年03月09日(金) 00時00分

暖冬余波春を手入れ 房総の花畑、早まる満開 暖冬で開花が大幅に早まった菜の花 東京新聞

 全国的に記録的な暖冬だったが、春の花を観光の目玉にしている千葉県の房総半島南部では、暖冬の影響で菜の花やアブラナ科の草花ストックの今春の開花が例年より一カ月以上も早まった。観光施設は客足好調となり、観光キャンペーンに弾みをつけている。その裏で関係者は花畑の維持に大わらわだ。 (千葉支局・岡村淳司)

 銚子地方気象台によると、同県館山市の二月の平均気温は八・九度。平年より高かった昨年の七・五度をさらに上回る暖かさだった。

 袖ケ浦市永吉の観光施設「東京ドイツ村」では、例年なら二月ごろから咲き始める菜の花が昨年中に開花。半分近くが二月上旬でピークを終えてしまい、同園はしおれた花を刈り取り、種をまき直す“二期作”を行った。四月下旬に再度開花させたいという。

 客足はというと、好天が続いたため、二月は昨年同時期の二・三倍と好調。篠崎憲明総支配人は「再度種をまく手間はあったが、客足が伸びてくれたので暖冬はありがたい」と話す。

 食用の菜の花摘みを売り物にする鴨川市宮山の農村交流施設「みんなみの里」でも開花が早まり、すでに最盛期。畑ごとにピークをずらすように種まきしたものの、気温が高いせいで大きく育たないうちから花をつけてしまうという。清水宏事務局長は「今更種をまいても貧弱なものしか育たない。四月まで続けたいが難しそうだ」とお手上げの状態。

 南房総市富浦町の「道の駅・おおつの里花倶楽部」はストックの花摘みを一カ月ほど前倒しにした。富津市田倉の観光農場「マザー牧場」では、菜の花摘みが例年より数週間早く終了。館山市藤原の植物園「南房パラダイス」でもポピーのピークが一カ月ほど早まるなど、各地で慌ただしい春に直面している。

 館山市が実施した聞き取り調査によると、市内にある七観光施設の二月一−十八日の客数は昨年同時期より24%アップした。地元の観光関係者は「暖冬とキャンペーンが相乗効果を生んでいる。五月の連休まではなんとか花を咲かせていたい」と意気込んでいる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070309/eve_____sya_____001.shtml