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2007年03月09日(金) 00時00分

最高裁『議員OB会補助違法』 目黒区が支出続ける 東京新聞

 議員OBの親睦(しんぼく)団体への補助金交付が最高裁で違法とされ、廃止する自治体が相次ぐ中、東京都目黒区が、補助金廃止後も予算項目を変え、公費を支出し続けていることが八日、分かった。使い道は懇談会や視察の費用で、補助金時代そのまま。区は「補助金とは色合いが違う」と主張しているが、市民グループは「(補助金でなければいいと)最高裁判決を逆手に取った不当な支出」と厳しく批判している。

 議員OB会への補助金については、昨年一月、北海道視察や懇談会などにあてた静岡県議OB会への交付をめぐる訴訟で「公益性はなく違法」として最高裁が補助金返還を命令。二〇〇五年度には都内の十八の区でも補助金を交付していたが、〇七年度までにすべての区で廃止を決めていた。

 目黒区では〇六年度予算に百万円を計上していたが、区議OB会の辞退を受け、廃止を決定。しかし、補正予算で、これまで補助金があてられていた区長らとの意見交換会の費用に「会議運営経費」から三十一万五千円を、視察に代わる調査委託には「一般事務費」から二十四万円を、それぞれ計上した。

 〇六年度の意見交換会は昨年六月に日本料理店で、今年二月には中華料理店で行われた。調査委託は、調査先もOB会の裁量で決められ、報告書も提出されていない。本年度は電力供給調査として、千葉県内の火力発電所を視察し、帰りに富津岬の展望台に立ち寄っていた。二十三区で、補助金廃止後も公費を支出しているのは目黒区だけだが、〇七年度予算案にも同額を計上している。

 同区議会事務局は「今後も元議員の経験や人脈は区政に必要」とした上で「使い道のあいまいな補助金ではなく、目的を明確に定めた適正な支出」と説明する。

 静岡県議OB会への補助金訴訟を手掛けた市民団体「静岡県オンブズマンネットワーク」の服部寛一郎代表幹事(69)は「悪知恵の極み。現役や地域に影響力を持つ議員OBを取り込むための買収資金で、住民に何のプラスもない」と批判する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070309/mng_____sya_____013.shtml