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2007年03月09日(金) 12時17分

ギョーカイのはてな?:ゲームソフトの「出荷」と「販売」毎日新聞 まんたんウェブ

 知ってるようで意外と知らないエンタメ業界についての素朴な疑問に答える企画「ギョーカイのはてな」。第1回は、ゲームのニュースでよく登場する「出荷数」と「販売数」の違いについてです。【河村成浩】

 6日に「モンスターハンターポータブル2nd」(カプコン、PSP)の出荷数が100万本を突破したことが明らかになったが、ゲームのハードやソフトの記事やお知らせで「100万本出荷」とか「100万本販売」という言葉がよく使われる。同じ「100万本」でも、実は明確な違いがある。

 一言で説明すると、「出荷」は「商品を市場へ出すこと」で、「販売」とは「商品を売ること」。ゲームの流通は、メーカーが出荷したソフトやハードを販売店が買い取り、売れ残っても返品は受け付けないというルールが商慣例として定着している。

 ここで、メーカーが問屋や販売店に商品を卸した数が「出荷数」となり、販売店が実際に売った数が「販売数」となる。メーカーにとっては、出荷した数だけ売り上げが上がり、売れ残った分は問屋や販売店の在庫として残るだけなので、メーカーはこの「出荷数」を成績として発表している。

 一方、販売数は実際にユーザーが買った数なので、売り切れなければ在庫数分だけ少なくなる。日本中のすべての販売店を調べるのは不可能なので、エンターブレイン、メディアワークス、メディアクリエイトといった出版社や調査会社が、提携・協力しているゲーム販売店の数字を集計し、独自の計算方法を使って全体の販売数推定して発表している。

 ところが、PS3などのハードとゲームソフトを製造しているソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、「生産出荷数」という独自の数値を発表している。製造工場からゲーム機やソフトが運び出された数で、市場に出た数を示す「出荷数」とは異なる。世界中に工場を持っているSCEでは、中国の工場で製造されたハードやソフトが運び出されて、船に積まれて海の上にあっても、「生産出荷」されたものとしてカウントされることになる。

 SCEは、94年の「プレイステーション」の発売以降、この数字を常に発表しているが、その理由は「世界でゲーム事業を展開しているため、一定の基準で定期的にカウントできる」からだそうだ。

 なぜこうした数字が必要なのか。「出荷数」については、ゲームメーカーがその業績を投資家などに公開するIR対策として積極的に発表している。「販売数」については、メーカー側が出荷数に対して、ソフトの消化率を計算して、売り切れ状態になったり、供給過剰で値崩れを起こさないように出荷数を調整する参考に利用する。販売店は、ゲームの前人気、市場動向、店舗の客層や地理的条件などを加味しながら、仕入れ数を設定する。

 ちょっと難しかったかもしれないが、これが「出荷数」と「販売数」がある理由なのだ。

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