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2007年03月09日(金) 00時00分

日興TOBハゲタカ5割増要求…もうけニオイかぎつけZAKZAK

 【2000円超】

 シティは、日興株が上場廃止になった場合でもTOBを実施することを明らかにしている。買い取り価格は1株あたり1350円と発表したが、これに不満をぶちまけたのが、日興株の7.23%を保有する筆頭株主の米ハリス・アソシエイツ。日興の不正会計問題での処分が浮上した昨年12月以降、890億円の資金を投入し、7050万株を一気に買いあさった。1株あたりの平均取得額は1263円。

 8日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)によると、同ファンドで国際株式投資の最高投資責任者(CIO)を務めるデービッド・ヘロ氏は、「シティの(日興に対する)関心は理解するが、1兆3500億円の提案では受け入れることができない」と言明し、「われわれの見方では、日興の長期的な価値は2兆円を超える」と強調した。日興の発行済み株式数は約9億7571万株。つまり1株あたり最低でも2050円の価値はあると主張。TOB価格もこうした実態を反映したものにすべきと言っているわけだ。

 単純計算では、TOB価格が1350円の場合、ファンドの利益は約61億円。これが2050円になると、約555億円まで拡大することになる。

 【次々と触手伸ばし】

 筆頭株主がTOBへの態度を鮮明にした影響は小さくない。

 再編機運が高まっていた日興の株には、“もうけのニオイ”をかぎつけた海外の投資ファンドが次々と触手を伸ばし、大株主に浮上。

 先のハリスに続いて、英領バミューダのオービス・インベスト・マネジメント(6.75%)、米サウスイースタン・アセット・マネジメント(6.08%)、カナダのマッケンジー・ファイナンシャル・コーポレーション(5.74%)が上位株主を占め、4社で計25.8%を保有している。

 外国人の持ち株比率は60%超になったとの見方もある。

 シティは、現在保有する日興株4・9%と合わせて議決権の過半数取得をTOB成立の条件にしている。つまり、最低でも45%超を集める必要があるのだが、上位株主や外国人投資家がハリスに追随すれば、TOBの成立は微妙な情勢となってくる。

 日興の株価はシティがTOBの実施を発表した今月6日の終値1340円と比べ、わずか10円高いだけ。8日の終値でも1368円とTOB価格を上回っている。果たして1株1350円は高いのか、安いのか。

 「妥当な価格」と語るのは、外資系証券でM&A(企業の合併・買収)を手掛けた経験を持つ保田(ほうだ)隆明氏。

 保田氏はまず、「TOB価格は、過去3カ月または6カ月平均の株価に25%程度上乗せするのが一般的」と説明。

 日興の場合、1600円を上回る計算になるのだが、今回のケースでは「直近の株価が思惑で買われているほか、不正会計問題でブランド価値が傷ついていることも考慮する必要がある」と指摘する。

 こうした状況に対し、TOBをかけるシティはどう動くのか。

 保田氏は「対抗TOBが出てきた場合、シティはとことんまでついていく(TOB価格を引き上げる)とみられるが、実際にその可能性は低い」とみる。

 「株主がそろってTOBに応じなければTOB価格を引き上げざるを得ないが、実際には売らない株主はそんなにいないだろう」(同)とみられるからだ。

 そして、米投資ファンドの今回の動きについてはこうみる。

 「シティに揺さぶりをかけているのだろうが、実際は1350円の値段が出た時点で勝ちといえる。取得価格が1260円ならリターンは7%。これを短期間で稼げるわけで、年率に直すとかなりの高リターンになる」(同)

 ものスゴ〜く欲の皮が突っ張った外資Vs外資のマネーゲーム。結局はせめぎ合った末に、双方がおいしい思いをして終わるのだろうか。

ZAKZAK 2007/03/09

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007030918.html