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2007年03月09日(金) 00時00分

北不穏、在外公館子弟に「帰国命令」…非道施策あらわZAKZAK

辺真一氏「今に始まったことじゃない」

 「帰国命令」を報じた中央日報によると、帰国対象は在外公館に勤務する外交官や職員の5歳以上となる子供。ただ、なぜか11−13歳は除外される。このほか、海外に出稼ぎをしている北朝鮮国籍の労働者も対象となっており、50カ国、3000人強と推測される。

 同紙はソウル在住の専門家の話として、「米国などと関係改善を推進する過程で国外駐在員たちが亡命のような逸脱現象が起こることもあると見て、これを事前に遮断するための措置だ」という見方を紹介している。

 中朝情勢に詳しい貿易商は「かつて高麗航空がモスクワに就航していたころ、シェレメチェボ2空港(モスクワ)で北へ帰国する高官らしき一団をみた」と語る。「全員、修学旅行のように集団行動だった。機内食や機内の毛布を無断で持ち出し、身を寄せ合うようにしてフロアに座っていた。胸に金日成バッジを付け、免税店でも冷やかすだけで絶対に買い物はしない」といい、今回もこの“修学旅行”方式で相互監視のもと帰国するものとみられる。帰国の期限は今月中という。

 一方、1970年代に北朝鮮の在外公館を取材した経験のあるコリア・レポート編集長の辺真一氏は「今に始まったことではない。亡命を防ぐため、公館に勤める職員は就学前に子供を北に送り返さなければならない。中国、東ドイツ、モスクワなどの北朝鮮大使館に入ったことがあるが、1度も大きい子には会わなかった」と証言する。

 辺氏は続けて、「今は財政難で外交官の数も減らされている上、子供を現地の学校に通わせる金もない。当時から大使館の中で夫人たちが託児所を作り、代わる代わる面倒をみていた。子連れで外国へ出稼ぎに出られる労働者も、どれだけいるでしょうか?」と同紙の報道に疑問を投げかける。

 とにもかく親子を離ればなれにした上、子供を“人質”にする金総書記の非道な施策。自国の高官すら信用ならないのか−。

ZAKZAK 2007/03/09

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007030919.html