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2007年03月08日(木) 11時59分

東京都と朝鮮学校が和解 都有地明け渡し訴訟朝日新聞

 東京都などが、在日朝鮮人の子らが通う東京朝鮮第2初級学校(東京都江東区枝川、65人)を運営する「東京朝鮮学園」に対し、校庭として使用している都有地の明け渡しや都有地にかかっている校舎の一部撤去を求めた「枝川裁判」が8日、東京地裁(阿部潤裁判長)で和解した。関係者によると、都と区が学園から和解金計1億7千万円を受け取り、10年間は土地の用途を学校用地に制限した上で、土地を学園に譲渡する内容という。

 同校は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の小学校。1945年に「国語(朝鮮語)講習所」として開設された。学園側は裁判で「取り壊せという都の主張は、憲法と国際人権規約が保障する『母国語で普通教育を受ける権利』の侵害だ」と主張し、話し合いによる解決を求めていた。

 学校側は敷地約5000平方メートルのうち8割を賃借してきた。財政難から71年に無償貸与を要望。当時の美濃部亮吉都知事は在日コリアンが多く住む地域の事情や学校の歴史的経緯などを考慮、都は72年、90年までの無償貸与を決めた。

 だが江東区内の住民らが03年8月に「都有地が学校に不法占拠されている」と住民監査請求し、都監査委員が是正を求める勧告を出した。都は13億円で土地を買い取るよう求めたが、学園側の資力を大きく上回り、折り合いがつかなかった。

 このため都は同年12月、無償貸与の期限が切れて学園側には占有権限はないとして提訴。都有地の明け渡しや校舎の一部撤去、無償貸与期限の後の地代に相当する額として約4億円の支払いなどを求めた。

http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200703080134.html