訴状によると、監査法人や旧経営陣らは01年3月当時、1万3843円だった日経平均株価が5年後には2万5500円まで急上昇すると想定。5年間の株売却益が840億円に上るという楽観的な見通しを立てることで、将来の利益を前提に計上する「繰り延べ税金資産」を膨らませ、実際には配当するだけの利益がないにもかかわらず、01年3月期に11億円を違法に配当したとされる。
この日、原告側証人として出廷したのは、当時繰り延べ税金資産の算定を担当し、会計士との調整役も務めていた行員。行員によると、決算作成に当たり、会計士の一人が「株価の値上がり益を上げればいい。将来の株価は誰にもわからないものだから」「含み益を840億円上げないと繰り延べ税金資産は取れない」などと、繰り延べ税金資産を使った粉飾を助言したという。
行員は原告側が裁判所に提出した陳述書でも、同じ会計士が「株価の予測なんて誰もわからないのだから。作ればいいんだから」などとアドバイスしたと証言していた。
同行は当時、不良債権処理で保有株の含み益をほとんど使い果たし、600億円前後の含み損を抱えていた。行員は「内心、監査の基準に反すると思ったが、会計士に従った」と述べた。
指摘された会計士は、中央青山の金融部副部長を務めたこともあるベテランだったという。
監査人である会計士は外部の目で会社の決算書をチェックするのが役割だが、行員は、中央青山の別の会計士も当時、銀行の将来の利益をひねり出す方策を検討する行内会議に出席していたと指摘。「監査というよりむしろ、コンサルタント的側面が非常に強かった」と証言した。
みすずは「係争中の案件であり、コメントは差し控える」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY200703070303.html