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2007年03月08日(木) 00時00分

元「ガキ大将」警官 昭和を描く朝日新聞

  福岡県筑豊地方、昭和34(1959)年夏。まだ「戦後」という時代を引きずっていた炭鉱地帯。長屋で暮らす小学5年生のガキ大将は、川遊びの楽しさとともに、人生を通して忘れられぬ別れを味わった。元ガキ大将、佐熊和三(さくまかずみ)・県警交通部長(60)が退官を前にして、小説「星の流れる川」にまとめ、朝日新聞社から自費出版した。

  主人公・竜二は父を亡くし、母と兄の3人暮らし。担任の先生が駆け落ちしたり、町内にまだあった遊郭の女性が亡くなって寂しい葬儀を目にしたり、まわりに様々な出来事がおきる。

  そんな生活の中で、竜二は障害がある級友、良夫と仲良く遊んだ。いじめられると、味方になった。良夫は竜二に習った釣りの腕をあげ、1人で川に行くようになった。そして、大型台風が町を襲う……。

  この小説は、50代以上の人には懐かしい昭和30年代の雰囲気がいっぱいだ。もとの小説は18年前に警察の部内誌で紹介され、若い警官も読んでくれたという。著者は「いじめられている子がいればかばうのが、おれの時代のガキ大将」と、当時の心意気を語る。

  佐熊さんは15日に退官する。運転が苦手で、交通部長だが自家用車を持ったことがない。「退職金で車を買う代わりに、記念に残るものを作ろうと思った」という。

(中島泰)

             ◇

 「星の流れる川」は本体1300円。自費出版だが、有隣堂が全店の店頭に置く。ASA(朝日新聞販売所)や書店からも注文できる。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703080003