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2007年03月08日(木) 16時44分

河野談話の修正求めず 従軍慰安婦問題で自民党有志の会朝日新聞

 従軍慰安婦問題で、軍の関与と強制性を認めた93年の河野官房長官談話の見直しを論議していた自民党有志の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文科相)は8日、「数々の慰安婦問題に対する誤った認識は、河野談話が根拠となっている」との見解を盛り込んだ提言をまとめた。近く政府に提出する。同会はこの見解をもとに同談話の修正を政府に求める予定だったが、安倍首相の「強制性」についての発言が内外に波紋を呼んだことに配慮し、修正要求は見送った。

 提言は従軍慰安婦について「民間業者による強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった」と指摘。「根本的解決のため、再度の実態調査と関連史料の全面公開を政府に求める」としており、近く首相に申し入れる。

 同会は、発足当初に事務局長を務めた安倍氏が首相に就任したことを受け、昨年暮れに談話の検証に着手。「従軍慰安婦との言葉は当時はなかった」「軍が組織的に関与したとの証拠はない」などの点で会員の見解は一致し、談話の見直しを求める方向で検討を進めていた。

 だが、首相が1日、「当初、定義されていた強制性を裏付ける証拠はなかった」と記者団に語ったことに、韓国の外交通商相が不快感を表明。米国の主要メディアが批判的に報じたり、国会で野党が取り上げたりしたことから、同会は、見直しを要求して問題をさらに広げるのは得策ではないと判断した。

http://www.asahi.com/politics/update/0308/008.html