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2007年03月08日(木) 10時00分

都知事選最大のタブー 東京五輪誘致は実現性ゼロ日刊ゲンダイ

 石原慎太郎(74)VS。浅野史郎(59)の一騎打ちの構図が固まった都知事選。石原知事は「五輪招致」を選挙の争点にする魂胆だが、そこには肝心カナメなことが隠されている。なんと東京五輪招致が実現しないことは、関係者の間ではほぼ確定的なのだ。

 石原知事が、改革派で売った浅野前宮城県知事を警戒していることは間違いない。さっそく会見でも「3期12年で宮城県の借金が増えているみたいですな」「都は財政再建の成果が出ている」と皮肉っている。
 借金を増やした浅野前宮城県知事と、財政を立て直した自分とを対比させる戦略だ。
 しかし、浅野前知事は「宮城県の借金は国の公共事業を押しつけられたのが原因」「東京都は企業が好調でうらやましい」と、財政再建は石原都政とは無関係だと切り返しているから、争点になりそうもない。
 そこで最大の争点になりそうなのが、五輪の招致問題だ。石原知事自ら「選挙の争点になる」と明言。「優先順位が低い」と消極的な浅野氏に論争を仕掛けるつもりだ。
 ところが、そもそも東京でオリンピックが開催される現実性はないのだ。
「石原知事は2016年の五輪に名乗りを上げています。しかし、08年の北京五輪のあと、12年のロンドン大会を挟んだ8年後に同じアジアで開催されることは慣例でありえない。そんなことは関係者の間では常識です。しかも、2016年は12年五輪の選考で惨敗した米国が総力を挙げて招致活動してくるし、5大陸でまだ開催されていない南米が隠れた大本命です。だいたい、アジア蔑視発言を続ける石原知事では、中国などのアジア諸国が猛烈に反対する。東京が選ばれる余地はない。JOC(日本オリンピック委員会)の本命も2016年ではなく20年招致です」(スポーツジャーナリスト・谷口源太郎氏)
 東京五輪の招致しか目玉政策がない石原知事。幻の五輪招致は、逆に石原慎太郎のアキレス腱になっていく。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070308-00000012-gen-ent