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2007年03月08日(木) 00時00分

夫が「ネットワークビジネス」読売新聞

 夫について相談です。夫は「ネットワークビジネス」を始めたいと希望しています。商品を知人らに買ってもらい、さらにその人が別の人に売るということを次々繰り返す仕組みで、お金を得られるそうです。私は、このビジネスに良いイメージがなく嫌なのです。

 夫は前々から、今の会社を辞めたがっていました。私も、人間関係に悩んでいる夫を見ているのはつらく、退職するのはやむを得ないと思っていました。

 夫はこのビジネスを紹介する人と知り合って以来、「もうサラリーマンは懲り懲りだ。自分一人でできる仕事をしたい」と言います。そして私にも協力するよう求めるのです。夫婦でする方が、有利だというのです。

 私にはやりがいを感じている仕事があります。忙しい中、時間を見つけて、夫に協力しなければならないのでしょうか。このまま結婚生活を続けていくのも不安になります。愛する夫が変わっていくようで怖いのです。(大阪・W子)

 私もネットワークビジネスなるものに懐疑的な一人です。お金は汗水流して稼ぐものとは言いませんが、何か形のないものからお金が生まれるというのがどこか信じられない旧世代なのでしょう。

 夫の年齢はわかりませんが、「もうサラリーマンは懲り懲りだ。自分一人でできる仕事をしたい」という言葉からまだ若いと察します。どんな仕事でも人とかかわらざるをえないとわかった者からすれば、一人で仕事ができると思うのは若いより幼い気もします。現に、一人でと言いながら、もうすでにあなたの協力を当てにしているのですから、いささか先行きに不安を感じます。

 旧世代の取り越し苦労と言われればそれまでのこと。愛する夫を何とか支えてあげたいというあなたの夫婦愛に水を差すつもりもありません。ただ、やりがいを感じている仕事があるというあなたなら、夫の仕事に時間を割くべきか考える前に、仕事のやりがいって何か、自分の考えを言った上で、夫と話し合われてはどうでしょう。

 (大森 一樹・映画監督)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/kazoku/20070308sy11.htm