記事登録
2007年03月06日(火) 08時24分

12人の無罪確定へ 鹿児島選挙違反、控訴断念の方針朝日新聞

 03年4月の鹿児島県議選をめぐって公職選挙法違反(買収・被買収)の罪に問われ、2月23日に鹿児島地裁で無罪判決を受けた被告で元県議の同県志布志市、会社社長中山信一さん(61)ら12人に対し、鹿児島地検は5日、控訴を断念する方針を固めた。一両日中にも福岡高検と協議するが、上級庁の高検、最高検はともに、現在の証拠関係では判決を覆すことは困難とみており、地検の方針を認める模様だ。これにより、控訴期限の9日を過ぎれば全員の無罪が確定する見通し。

 この事件は、中山さんと妻シゲ子さん(58)らが03年2〜3月、同市のパート職員藤元いち子さん(53)宅であった4回の会合で、11人に計191万円を渡し、投票を依頼するなどしたとして起訴された。

 これに対し、被告・弁護側は一貫して「自白は違法な取り調べで強要された。事件はでっち上げで冤罪」と主張。6人から取った自白調書を裏打ちする物証や買収資金の出どころが示されていないことや、4回開かれたとする「買収会合」のうち少なくとも2回については中山さんにアリバイがあることも立証した。

 判決も、弁護側の主張に沿って中山さんのアリバイを認定。すべての会合が存在しなかった可能性をにじませる一方、自白調書についても「あるはずもない事実が、さもあったかのように具体的かつ迫真的に表現されている」と指摘して、その信用性を否定していた。

 さらに判決は「自白した被告らの主張するような追及的・強圧的な取り調べがあったことをうかがわせる」と認定するなど、検察側の主張をことごとく退けていた。

http://www.asahi.com/national/update/0306/SEB200703050012.html