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2007年03月06日(火) 22時24分

自社株購入で利益22億円、滞納の元社長ら逮捕読売新聞

 ストックオプション(自社株購入権)で得た約22億円の利益に対する課税に応じず、差し押さえを逃れるため、資産の一部を海外に隠匿したとして、横浜地検特別刑事部は6日、英国の半導体関連会社「アーム」の元日本法人社長石川滝雄(57)と妻真弓(53)の両容疑者を国税徴収法違反(滞納処分免脱罪)の疑いで逮捕。

 ストックオプションに対する所得税の滞納で同法違反が適用されるのは全国初。

 ストックオプションの利益については、最高裁が2005年1月、税額が低くなる一時所得ではなく、給与所得にあたるとの判断を下した。しかし、石川容疑者は一時所得と主張して一切納税しておらず、同地検は、判例が確立しても滞納を続け、資産を隠した点を悪質と判断した。

 調べによると、石川容疑者らは1998〜2001年、親会社から取得したストックオプションによって利益約22億円を得たにもかかわらず、所得税3億6000万円を納税しなかったうえ、05年10〜12月、4回に分けて、計約1億2000万円をカナダの銀行の夫婦名義の口座に送金して隠匿した疑い。

 石川容疑者は「送金したのは事実だが、私は納税義務者ではない」と供述している。石川容疑者は01年と03年、横浜地裁で課税処分取り消しを求める訴訟を起こしたが04年に取り下げた。その後、債務が存在しないと納税を拒否していた。

 石川容疑者は、94年に設立された同社日本法人の社長に就任、05年5月まで社長を務めた。この間、01年には、3億6348万円を納税し神奈川県内の高額納税者番付で8位、全国でも74位に入った。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070306i515.htm