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2007年03月06日(火) 17時25分

平成電電 全出資金を流用 05年1月以降毎日新聞

 経営破たんした「平成電電」の投資詐欺事件で、関係会社の「平成電電システム」と「平成電電設備」が通信機器の購入費名目で集めた資金のうち、05年1月以降に集めた出資金約300億円は機器購入に使われず、投資家への配当や平成電電の運転資金に流用されていたことが分かった。警視庁捜査2課は、2社が一体となって破たんした平成電電に出資金を回していたとみている。
 調べでは、「システム」「設備」の両社は、購入した通信機器を平成電電にリースし、その代金を原資に高配当を提供するとうたっていた。両社の元社長の熊本徳夫容疑者(54)=詐欺容疑で逮捕=は、投資の受け皿としてそれぞれに「匿名組合」を設立し、03年9月から出資を募集。匿名組合は05年9月までに計21回に分けて出資を募集、約1万9000人から約490億円を集めた。
 しかし同課によると、投資家への説明通りに出資金が機器購入に充てられたのは04年9月の9回目まで。同年10月の10回目から、機器購入に充てられる出資金は全体の3割程度にとどまり、約7割は平成電電の運転資金に直接回されたり、配当金に使われるようになった。
 さらに05年1月の第13回〜同年9月の最終回までの9回の募集分では機器購入に充てた実績がなく、全額が運転資金や配当に回されたという。この9回で集めた資金が約300億円に上り、この事件で詐取された額とされる。
 平成電電の破産管財人の債権者への報告によると、平成電電は「システム」と「設備」両社の株式を保有していない。平成電電の元社長、佐藤賢治容疑者(55)=同=は05年10月、民事再生法の適用を東京地裁に申請した際の記者会見で、両社との関係について「形式的には、(平成電電とは)別会社」と主張していた。しかし同課は、佐藤、熊本両容疑者が平成電電の資金繰りのために共謀して投資家をだまし、資金を集めた疑いが強いとみている。
 また同課は5日、佐藤、熊本両容疑者ら逮捕した5人の自宅のほか、大証ヘラクレス上場で平成電電が筆頭株主となっているソフト開発会社「ドリームテクノロジーズ」など複数の会社を家宅捜索した。ドリーム社は95年3月に設立。東京都渋谷区の平成電電と同じビルに入居。佐藤容疑者は04年10月から1年間、同社の取締役を務めた。【石丸整、鳴海崇】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070306-00000024-maip-soci