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2007年03月05日(月) 10時01分

ビッグ3が中国にのみ込まれる日刊ゲンダイ

 米ビッグスリーが中国に取り込まれる——。こんなことを言ったら、それこそ“狼少年”とのそしりを免れないだろう。だが、あながち絵空事とはいえない状況になってきた。
 ダイムラークライスラーは2月27日、傘下のクライスラー部門が中国の奇瑞汽車との提携を決めたことを発表した。3月末には中国政府の認可を得られる予定。提携後、クライスラーは奇瑞汽車が生産した小型自動車をクライスラーブランドで北米や西ヨーロッパで販売する考えだ。
 ある自動車関係者が“異変”を察知していた。
「中国の自動車メーカーが日本を含む海外企業と合弁会社をつくることはこれまでありましたが、今回は違う。奇瑞は中国の純正国産自動車メーカーであり、国内トップクラス。つまり、クライスラーと奇瑞の提携には中国政府の意思が明確に働いていると見て取れるのです。奇瑞の本当の狙いは業績不振のクライスラーへの出資でしょう」(前出の自動車関係者)
 やはり27日、仰天情報が流れた。中国の地元メディアが「一汽集団がクライスラー買収に乗り出す意向」と報じたのだ。一汽集団は交渉のためすでに米国に担当者を派遣したと伝えているからただ事じゃない。
 さらなる衝撃的な発言が。「中国は米フォードを狙っている」というのである。
 こう語る中国事情に詳しい日本の投資ファンド幹部が内情を明かす。
「中国にとって海外の自動車メーカー買収は国家戦略と考えていい。自動車メーカーのトップは共産党幹部で、市長より上のクラス。さらに上位にある“大臣格”の国有資産管理監督委は自動車を含めた海外企業の買収に積極的です。すでに水面下でフォードとの交渉を始めていると考えておかしくありません」
 中国政府が大胆な手を打つのは、世界一の外貨保有国になったことと深い関係がある。
「このままでは人民元の切り上げを世界から迫られる。これを避けたい中国にとっての命題は、外貨減らし。巨額の資金を使う自動車メーカー買収は願ってもない標的なのです」(前出の投資ファンド幹部)
 ビッグスリーがいつ中国の軍門に下っても不思議じゃないのである。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070305-00000014-gen-ent