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2007年03月05日(月) 12時32分

平成電電元社長らを逮捕、架空投資で1億詐取か 警視庁朝日新聞

 割安の固定電話サービスを運営する「平成電電」(東京都渋谷区、06年6月に破産手続き開始)の関連会社への出資金名目で約1億円をだまし取ったとして、警視庁は5日、同社元社長の佐藤賢治容疑者(55)=東京都品川区=ら5人を詐欺容疑で逮捕した。同社は同様の手口で全国の約1万9000人から約487億円を集めており、同庁は少なくとも300億円以上は投資先に実体がなく、詐欺の疑いが強いとみて、同社を巡る金の流れを調べている。

 ほかに逮捕されたのは、平成電電に通信機器などをリースしていた「平成電電システム」の元社長熊本徳夫(54)=同中央区=、元同社取締役坂上好治(48)=横浜市戸塚区=、元平成電電取締役経営企画本部長竹村文利(40)=東京都港区=、元同社経理課長国友恵(42)=同世田谷区=の各容疑者。

 捜査2課の調べでは、佐藤容疑者らは05年8月ごろ、練馬区の男性ら3人に、平成電電システムに出資すれば、多額の配当があるように偽って計約1億円をだまし取った疑い。

 佐藤容疑者らは、03年8月から05年9月まで21回にわたって平成電電システムに対する投資を呼びかけた。1口100万円で同社の匿名組合の組合員となると、投資金を元に平成電電システムが通信機器メーカーから機器を購入し、その機器を平成電電にリースして、リース料から年に8〜10%を配当する、と称して投資を募っていた。

 しかし、同課は、遅くとも、13回目の募集期間にあたる05年1月ごろには事実上破綻(はたん)し、通信機器メーカーからの機器購入は行われていなかったとみている。実際には、新たに集めた投資金を過去の投資家への配当に回す自転車操業を行ったり、平成電電本体の事業資金に充てたりしていた疑いが強いという。

 平成電電の電話事業は当初から赤字続きだったといい、年8〜10%の高配当は本来、当初から実現不可能だったとみられる。

 配当の遅れなどが目立ち始め、05年10月に平成電電が民事再生手続きを申し立ててから、佐藤容疑者らは投資家に「平成電電とシステムは別組織だ」などと説明していたが、同課は両者は事実上一体だったとみている。

http://www.asahi.com/national/update/0305/TKY200703050116.html