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2007年03月05日(月) 12時49分

平成電電元社長ら5人逮捕、出資金詐取容疑で読売新聞

 1200億円に上る負債を抱え、2006年6月に破産した「平成電電」(東京都渋谷区)の元社長・佐藤賢治容疑者(55)らが通信設備への投資名目で、投資家から多額の出資金をだまし取っていたとして、警視庁捜査2課は5日、佐藤容疑者ら5人を詐欺容疑で逮捕した。

 同社は03年8月から派手なテレビCMと、「最高10%の配当が得られる」などという宣伝で、約1万9000人から総額約487億円を集めていた。このうち、少なくとも05年1月以降に集めた約300億円は、同社の運転資金に流用されていた疑いが強まっており、巨額詐欺事件に発展する見通しになった。

 佐藤容疑者以外に逮捕されたのは、同社の関連会社「平成電電システム」と「平成電電設備」の両社の社長だった熊本徳夫(54)や、両社の役員を兼務していた坂上好治(48)の両容疑者ら。

 調べによると、佐藤容疑者ら5人は、05年8月中旬ごろ、練馬区の男性(65)ら3人から、通信設備を平成電電にリースすれば、そのリース料を原資に年利10%の配当が受けられるなどと偽って計約1億円をだまし取った疑い。同社はこの時点ですでに、配当や運転資金の支払いに行き詰まっており、だまし取った約1億円もこれらに流用されていたという。

 3人が投資したのは、平成電電システムと平成電電設備が05年6月に設立した匿名組合で、この組合には約2000人が総額約37億円を出資していた。

 平成電電が、NTT東西に基本料金を支払わなくて済む格安の固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」を始めたのは03年7月。翌月からは、約8%の高配当が得られるとうたい、今回の事件の舞台となった匿名組合による資金調達を開始。同課の調べによると、佐藤容疑者らは、少なくとも05年1月以降は、集めた資金は、リースする通信機器の購入にあてられていなかった。この時点以降に集めた出資金だけで約300億円に上っている。

 平成電電は05年10月、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、スポンサーの支援中止の決定を受け、同法による経営再建を断念し、06年6月、破産手続きに入った。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070305it04.htm