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2007年03月05日(月) 12時08分

「平成電電」幹部5人逮捕、出資金詐取容疑で読売新聞

 1200億円の負債を抱え、2006年6月に破産した「平成電電」(東京都渋谷区)の元社長・佐藤賢治容疑者(55)らが、通信設備への投資名目で、出資者から多額の出資金をだまし取っていた疑いが強まり、警視庁捜査2課は5日午前、佐藤容疑者を含む幹部5人を詐欺容疑で逮捕した。

 同社は、有名タレントを起用した派手なテレビCMを展開する一方、関連会社が設立した投資組合による運用で「最高10%の配当が得られる」などとうたい、約1万9000人から約490億円の出資金を集めており、同課は資金の流れの解明を急いでいる。

 佐藤容疑者以外に逮捕されたのは、投資組合による出資を募っていた「平成電電システム」と「平成電電設備」の両社の社長だった熊本徳夫(54)や、両社の役員を兼務していた坂上好治(48)の各容疑者ら。

 調べによると、佐藤容疑者ら5人は、05年8月中旬ごろ、練馬区の男性ら3人から、平成電電にリースする通信設備に投資すれば、高い配当が得られるなどとうそをつき、計1億円をだまし取った疑い。

 ◆タレント起用、派手なCMも◆

 平成電電が、NTT東西に基本料金を支払わなくて済む格安の固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」を始めたのは2003年7月。有名タレントを起用した派手なテレビCMを放映した。

 同社の事業拡大を支えたのは、今回の詐欺事件の舞台になった匿名組合による資金調達だった。この匿名組合は、出資者から資金を集めると、「平成電電システム」と「平成電電設備」の両社名義で交換機などの通信設備を購入。これらの通信設備を平成電電にリースし、平成電電から受け取るリース料を出資者に分配するとうたっていた。

 しかし、KDDIや日本テレコムも同様のサービスを相次いで始めたこともあり、契約数は当初目標の100万件を大きく下回る約14万件にとどまった。平成電電は05年10月、東京地裁に民事再生法の適用を申請。計21回にわたり出資金を募った「平成電電システム社」など2社も出資者への配当を一方的に停止した。

 05年12月には、共同事業を計画するなど平成電電と当初から関係が深かった大証ヘラクレス上場のソフト開発会社「ドリームテクノロジーズ」(本社・東京)が支援スポンサーに決まったものの、同社は06年4月、「再生計画の実現可能性は乏しい」と支援中止を決定。これを受けて、平成電電は同月、同法による経営再建を断念し、同6月、破産手続きに入った。

 破産手続きの過程では、両社の通信設備の選定や価格決定に、平成電電が関与していたほか、不明朗な取引関係や経費計上が明らかになっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070305it04.htm