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2007年03月04日(日) 00時00分

〈TV端会議〉この原作のドラマ化を見たい!朝日新聞

 テーマは「ドラマ化したい原作」です。村上春樹ら人気作家の作品も多いなか、走ることがテーマの青春小説が目を引きました。

 直木賞作家の三浦しをんの「風が強く吹いている」には「なぜ、箱根駅伝にあんなにファンが熱くなるのか分かった。駅伝の醍醐(だいご)味をドラマにしたら面白い。主役は妻夫木聡、先輩役に江口洋介で」(大阪府・尾田美紀・35歳)。

 直木賞候補になった佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」は高校の陸上部が舞台です。

 「タイムが縮まらず陸上をやめたくなったときに読んで、あきらめるのはまだ早いと思った。おかげで1秒近く縮まった」(大津市・松下愛里・13歳)

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 続いてミステリー。ジャズピアニストでもある原リョウ(僚のつくり部分)の「愚か者死すべし」ほかの作品。

 「薄っぺらでない、やさぐれ探偵の大人のハードボイルドを豊川悦司の主演で。音楽は原さんのジャズピアノで」(神奈川県・和田槇子・60歳)。東野圭吾「白夜行」の続編ともいえる「幻夜」には「阪神大震災の混乱に紛れ、他人になりすました主人公に『白夜行』の綾瀬はるかを再び」(神奈川県・佐藤明子・41歳)。

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 漫画では80年代の作品、市川ジュン「陽の末裔」。

 「大正から昭和までの2人の女性の半生を描く。女性の生き方や言論の自由についても考えさせる。資産家の養女となる咲久子役は鈴木京香で」(横浜市・MT・32歳女性)

 少年少女の心に吹き荒れる心情をとらえた紡木たく「ホットロード」には、「私の世代ならきっとみんな見たいし、今の時代でも共感を呼ぶと思う」(大阪府・玉木朋子・32歳)。

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 時代小説ではやはり藤沢周平が根強い人気。「下級武士の話が多いが、『橋ものがたり』など市井の町人ものもよい。国分太一らTOKIOのメンバーで」(大阪府・春日昇・59歳)。畠中恵の「しゃばけ」には「江戸情緒と個性的な妖怪たちの世界が魅力的。妖怪たちをどう実写化するのか、見てみたい」(山口県・にしん・17歳女性)。

 最後は、渋めに「徳冨蘆花の『不如帰』。世知辛い世だからこそ純愛、いや悲恋を。宮沢りえと唐沢寿明で」(大阪市・野津隆・54歳)。

 ◆記者もひとこと

 小説でも漫画でも、作品それ自体の完成度が高いほど、うまく映像化するのは難しいもの。その点、昨年の「白夜行」は原作の世界観が違和感なく表現されていて、綾瀬はるかの雪穂ははまり役でした。今度はぜひ「幻夜」の魔性の女、美冬に挑んでほしいのは同感です。もう一作、盛田隆二の「ありふれた魔法」。ドラマを見るように読める、リアルで切ない大人の恋愛小説で、家族・夫婦の物語でもある。テレビ関係者の方、ぜひおすすめですよ。

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200703030222.html