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2007年03月04日(日) 03時03分

<議員交通費>40都道府県で実費上回る固定額支給毎日新聞

 都道府県議の議会出席に伴う交通費について、40都道府県は実費を考慮せずに支給していることが毎日新聞の全国調査で分かった。徒歩で出席する議員も対象に実費を大きく上回る固定額が支給されている。実費精算を採用している7府県も鳥取県を除く6府県では別の名目で日当を加算している。給与、政務調査費に交通費を加えた「報酬の三重取り」とも受け取れる実態が浮かんだ。
 地方自治法は、地方議員が議会出席、公務出張などにかかった費用を「費用弁償」として受け取ることを保障。40都道府県は居住地と議会の間の距離などを基準に段階的に固定額を設定、1日2500〜3万4300円の交通費を支給している。
 支給上限が全国最高の3万4300円だったのは熊本県で、下限の1万2000円も愛知県、茨城県、北海道、千葉県に次ぐ高額。県議会事務局は「交通手段は確認していない」としており、徒歩でも最低1万2000円の支給が受けられる。
 松村昭議長は毎日新聞の取材に「議会のある熊本市から3時間かかるところもあり、仕方がない部分はある。しかし、政務調査費と合わせて今後検討していかなくてはならない」と語った。このほか、支給上限が高いのは和歌山県の2万7000円、徳島県の2万2000円など。
 実費に日当を加算している6府県は、雑費などの名目で議会出席のたびに手当を支給。最高は島根県の7400円で、長野、大分両県の5000円が続いた。
 こうした中、上限1万4500円の神奈川県では、開会中の議会で「支給の根拠がない」などの批判が相次ぎ、4月から実費支給に移行の予定。青森県も4月から上限を1万6300円から1万3500円に減額するなど、「三重取り」批判を重視した動きも出始めているが、まだ全国的な広がりは見せていない。
 「なくそう!議員特権キャンペーン」事務局の宮部彰さん(52)は「慣例として許されてきた特権的な手当。目的と根拠を明らかにして実費に切り替えるべきだ」と指摘している。【川口健史】
■都道府県議への交通費の支給状況■
▽実費支給=鳥取
▽実費を基準に日当を加算(支給額の多い順)=島根、長野、大分、三重、京都、静岡
▽実費を考慮しないで固定額を支給(上限額の多い順)=熊本、和歌山、徳島、石川、宮城、北海道、福岡、愛知、福島、岐阜、愛媛、山形、兵庫、埼玉、新潟、岡山、岩手、高知、宮崎、福井、青森、秋田、茨城、広島、長崎、鹿児島、沖縄、大阪、千葉、佐賀、栃木、神奈川、山梨、山口、富山、東京、滋賀、香川、群馬、奈良

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