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2007年03月04日(日) 03時03分

破たんゼネコン・旧大木建設、180億円を粉飾か読売新聞

 経営破たんした元東証1部上場の中堅ゼネコン、旧大木建設(東京都千代田区、新会社に営業譲渡)が、破たん前の2003年3月期までの4年間に、受注工事の進み具合を操作するなどして決算を粉飾していた疑いのあることが、関係者の話で分かった。

 粉飾総額は計約180億円に上るとみられる。

 証券取引等監視委員会も同様の事実を把握しており、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いがあるとみて、経理担当者らを事情聴取するなど旧経営陣の関与について調べている。

 関係者によると、公共工事の受注減少などで業績が悪化した旧大木建設は、複数年にまたがる大規模工事なら、完工前でも工事の進捗(しんちょく)状況に応じ、単年度ごとに売り上げに計上できる会計基準を悪用。実際より工事が進んでいるように見せかけ、売り上げを前倒しして計上、水増ししていた。水増し分には、工事をでっち上げた架空の売り上げも含まれていたという。

 また、工事に関する費用を翌決算期に繰り越すなどして損失を少なくしていたほか、工事に伴う未回収金や関連会社への貸付金など約20億円が不良債権化していたのに、貸し倒れ引当金を積み立てていなかった。

 こうした粉飾決算は、全国の支店や営業所レベルで行われていたとみられる。

 その結果、同社は実際には経常赤字だった00年3月期〜03年3月期に、約19億〜1億7500万円の経常黒字を計上。虚偽の有価証券報告書を関東財務局に提出した疑いが持たれている。また、00年3月期〜02年3月期には1株7・5円〜6円を配当しており、違法配当の可能性もある。業績を良く見せかけることで、国土交通省や自治体などが行う経営事項審査での点数(格付け)を維持したり、上場廃止を回避したりする狙いがあったという。

 監視委は、不正な会計操作は旧経営陣主導で行われたとみており、有価証券報告書の虚偽記載の公訴時効(当時は5年)にかからない03年3月期までの2年間分について調べているとみられる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070304i101.htm