記事登録
2007年03月04日(日) 03時04分

名古屋の地下鉄談合、「大林組」副社長が事実上黙認読売新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で名古屋支店元顧問が逮捕された大手ゼネコン「大林組」の代表取締役副社長が2005年12月末、元顧問に直接、「談合からの決別」を伝えながら、既に談合で受注調整が済んでいる工事の入札への対応には明確な指示を出さず、談合を事実上黙認していたことがわかった。

 名古屋地検特捜部の調べでは、大林組名古屋支店元顧問・柴田政宏被告(70)らゼネコン5社の営業責任者5人は05年12月中旬、同支店などで談合、市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事を受注する共同企業体(JV)を決めた疑いが持たれている。

 談合決別宣言は同月下旬、ゼネコン各社のトップが集まって行われ、同月22日付の文書で業界団体の会員に通知された。

 関係者によると、柴田被告は同月28日、大林組の上原忠副社長に呼ばれ、談合決別宣言を伝えられた。その際、上原副社長に「既に(談合で)決まっている分はどうするのか」と尋ねたが、明確な返答がなく、談合を黙認したと受け止めたという。06年の地下鉄工事の入札は、打ち合わせ通りのJVが落札した。

 大林組は、柴田被告らが逮捕された2月28日、上原副社長らが3月31日付で引責辞任すると発表した。

 独禁法は、談合など違法行為を知りながら必要な措置を取らなかった法人の代表者個人に、罰金刑を科す「加罰規定」を設けており、特捜部では同規定を適用できるかどうか慎重に調べている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070304i201.htm